紺色のひと

思考整理とか表現とか環境について、自分のために考える。サイドバー「このブログについて」をご参照ください

生活

忘却と回顧の夜

残業が続いて遅くなった夜。職場を出て、空気を大きく吸い込んだ。 車のエンジンをかけると、往路で聞いていたスピッツが流れ始めた。「ウサギのバイク」だ。乗り込み、窓を開けて走り出すと、初夏の冷たく、どこか花粉くさいような風が車内に吹き込んできた…

転換点

自分のこれまでの生活に――あまり好きではない言葉なので使いたくないのだけれど有体に言えば“人生”に――おいて、大きな転換点というのは確実に存在する。僕の場合、数年前に生まれ故郷を離れる決断をしたのがそれで、その転換によって僕の生活のかなりの部分…

SUUMOタウンに、山形県への移住記事を寄稿しました

株式会社リクルート住まいカンパニーが運営するwebメディア「SUUMOタウン」に、山形県庄内地方への移住に関する記事を寄稿しました。タイトルは「あたたかな川をさかのぼるように、山形へ」です。 SUUMOタウンの記事編集にははてなが関わっている*1とのこと…

2016年、足元のソフトパレード

転職・引っ越しというイベントの後、いかに生活を安定させるかということに尽力した年だった。長男が生まれ、四人と一匹になったわが家もより騒々しくなり、夜の時間の使い方が難しくなってきた。 いつものように一年を振り返ってみる。 ◆一月◆ 引っ越し後、…

皿洗いと妻の撮る写真が好きな話

このところ、やれ「あいつの考え方が気にくわない」「あの団体のトンデモ主張が我慢ならない」などという批判的思考ばかりをアウトプットしているように思う。それらの憤りが僕にとって必要だというのもわかっているし、批判的思考の表明を止めるつもりもな…

マチ子4歳、はじめての「となりのトトロ」

11月4日(金)の金曜ロードショーで、スタジオジブリ「となりのトトロ」が放映された。4歳の娘が楽しみにしていたので録画して、翌日一緒に見たのだった。幼児向け映画作品として絶大な人気を誇る「トトロ」、初めての視聴となった今回の感想を残しておく。 …

思えば仮の宿

もうすぐ父方の祖母の死から一年になる。 ここにそのことを書くのは、僕が祖母の人生を振り返ろうと思っているからではない。九十余年に渡る他人の生活の軌跡を、こうした形で残すことには少し抵抗がある。 これから書くのはすべて自分のためで、僕にとって…

夏の日の生活と虫からの報せ

夏の日の写真を。 台所から見えるオオハンゴンソウ。雨の後は特に浮き上がっているようだ。 初夏のさくらんぼ。娘が大喜びする。 弟が言ってもいないことを勝手に代弁して悦に入っているあたり、姉の自覚というよりはまだ「弟をかわいがっている自分かわいい…

あっちぇえランド

県民河川愛護デーには、家の近所や河川敷、海岸の清掃をするのがこのまちの定例行事だ。大家さんから貸し与えられた刈り払い機の試動を済ませ、集合時間の6時少し前にゴミステーションに向かった。二軒隣に住んでいるおじさんがちょうど出てきたところだった…

秋田でのクマによる死亡事故:中間まとめと雑感(追記あり)

2016年5月から6月にかけてニュースを賑わしている、秋田県鹿角市から青森県境周辺でのツキノワグマによる人身被害事故について、6月15日現在での状況を一旦まとめるとともに、報道や関連団体等の意見について思うところを書いてみます。 当事故によるクマ出…

『子供向けデジカメ』選びを考えてみる

娘、マチ子が4歳になった。 妻と前々から話し合っていたことは、「マチ子にカメラを持たせてみたい」ということ。僕も妻も写真を撮るのが好きで、お互い撮り合うばかりでなく、娘が生まれたときからそれぞれのカメラを向けてきた。一時期はキメ顔ばかりだっ…

ひとりではコーヒーが飲めない

桜が咲いた。妻が、娘を連れて実家に帰ってしまってから一週間になる。 特に含みを持たせても仕方ないので書くと、里帰り出産の準備のためだ。こちらで産む、妻だけ地元で産む、娘を連れていって地元で産む……という選択肢があったが、娘マチ子の保育園のこと…

「楽しく田舎で暮らすために移住するのは質の低い移住者」と言われた気がした

この町では梅が見ごろです。古いレンズをここぞとばかりに引っ張り出して撮ってみています。妻と娘と一緒に食べた花見団子、本当においしかった。 こんなブログ記事を読みました。 http://yanodaichi.blog.jp/archives/1054603439.htmlこれを書いた方は矢野…

おれが山形県に移住して1年が過ぎました

「移住しました」「トマトが実際安い」「いいところです」といった移住報告はよく見かけるので、清濁含めての印象をまとめてみようと思いました。ちょうど一年前、「だるろぐ」さんの「愛媛・松山に移住して1年経ちました。 - だるろぐ」という記事を読んで…

ただ春を待つのが

よく晴れた、明るい週末になった。 少し乾いた空気、強い西日。日が沈んだときの大気の匂いは、10年以上前にひとり暮らしを始めたばかりの時のそれによく似ていて、新しい季節の高揚感を思い出させる。 恩義ある方の訃報が届き、通夜と告別式に参列した。式…

結婚披露宴の写真を頼まれても、お断りする理由がある

「結婚披露宴で、写真撮ってくれない?」親戚や友人に「写真を趣味にしている」と認識されていると、披露宴などの写真係を頼まれることがあります。結婚おめでとう! 心からお祝いするよ。ただ、頼んでくれること自体は嬉しいのだけれど、こちらにも安易に請…

3歳からのおすすめ科学絵本セレクション

娘マチ子、もうすぐ4歳になります。毎晩読み聞かせをしているせいか、今のところ本好きに育ってくれていて、文字への興味も強くあるようです。平仮名は読めるようになったけれど、まだ字を追っているだけで、読んでそのまま意味をとることはできていないみた…

梅は咲いたか

通りがかった公園で、梅の花が咲いているのを見つけた。 正直なところ、梅の花にはあまり馴染みがない。 僕らが長く住んでいた北海道では、梅は桜とだいたい同じかその少し後、5月の頭の連休に咲くものだった。その頃には大体みんな花見で浮かれていて、エゾ…

方言の旅

僕が暮らすやまがた県では、県内地域によって方言に大きな差があることが知られている。「そうだね」を表すものでも「んだず」「んだの」「んだにゃ」など異なる語尾変化が生じるのに加え、地域内でもかなり差があるという。 ここは県西部、庄内地方。北前船…

朝食が楽しみになる!バルミューダのトースターにしたら食生活がアセンション

我が家に"感動のトースター"バルミューダ ザ・トースターがやってきました。妻の喜びようとは裏腹に、たかがトースターと疑いの目を向けていた僕ですが、食べてみたら手の平返しをしたくなりました。レビューというより、日記です。もちろんステマではありま…

2015年、旅立ちのソフトパレード

2015年、僕はいわゆる人生の転換期を迎えた。新卒から9年間勤めた会社を辞め、やまがた県に移住する決断をしたのがそれだ。 心づもりは2014年11月頃の時点でできていて、それを年が明けた1月に上司に伝えたところから旅立ちが始まる。 これを書いているのは…

鮭累々

サケが累々としていた。 そこは孵化場で、川から引かれた水路に導かれるようになだれ込んできたサケが、すのこの上に次々と揚げられて、システマチックに――と表現するにはあまりに原始的だけれどシンプルで美しい手法によって、腹を割かれてゆく。卵はひとと…

ヒバリズのテーマにかえて

僕の黄金時代はいつだっただろう。 例えば、精神的な拠り所を何かに求めなくても大丈夫なくらいには、揺さぶられて不安定になることも少なくなった。怒鳴り声や歌声にのせて感情を叩き付けなくてもよくなった。何かに駆られるように走り出すことはないけれど…

いまさら『氷菓』の話をしよう

米澤穂信の青春ミステリ小説「古典部シリーズ」を京都アニメーションがアニメ化した「氷菓」。原作を何度も読んでいたこともあり、アニメが始まるのを大変楽しみにしていたのだが、放映時にはほとんど見ることができなくて、この度ようやく全話を通して見終…

絵本「せいめいのれきし」に改訂版が出ました

絵本「ちいさいおうち」で知られる作家、バージニア・リー・バートン。彼女の作品の中で、いえ僕がこれまで読んだ絵本の中で、もっとも好きなのが「せいめいのれきし」です。幼い頃から何度も繰り返し読んで、娘にも何度も読み聞かせたこの本。この度、やや…

からだの経験値を稼ごう

4月の末くらいまで、家のすぐ裏でウドとタラの芽、コゴミがたくさん採れた。シドキと呼んでいたモミジガサも少し生えていたので、一度摘んできた。5月に入るとフキが伸び始め、作業道の脇にはミズと呼ばれる青い葉がだんだんと丈を高くしていった。 ミズ、フ…

西の・光が・強い・ところ

十年前、この土地で暮らしていたときから、西日の強さが気になっていた。春霞のけぶる稜線がシルエットとなり、近くの小高い山々の、スギや葉桜、竹林が明るく浮かび上がる。水が入る前の田はトラクターで掘り起こされ、乾いた空気に細かな土ぼこりを舞い上…

今日までの人生とこれから

本日付で、新卒入社した会社を退職した。辞める決断をしたときはこの先どうなるのだろう、どうすればいいのだろう、という不安と、それでも前に進まなければいけないという焦燥感が強くあったが、決めてしまってからは、行動のひとつひとつが前向きな何かに…

そんな宛名のない手紙:やまがた県に移住します

こんにちは。なんでも地球温暖化とか異常気象に結び付けて語りたがるひとに辟易する今日この頃、あなたがいかがお過ごしか皆目見当もつきません。 春から生活が一変するので、この場をお借りして報告いたします。 家族で山形に移住することにしました*1。ち…

2014年、ソフトパレードの足踏み

あまり振り返りたくない、思い出したくない年になった。「仕事が忙しい」という言葉で片付けてしまえる。別に僕は「ていねいに暮らす」とかそういうことを意識しているつもりはないのだけれど、時間に追われて自分のための時間や家族との時間が削られるばか…