紺色のひと

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ひとりではコーヒーが飲めない

桜が咲いた。妻が、娘を連れて実家に帰ってしまってから一週間になる。
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特に含みを持たせても仕方ないので書くと、里帰り出産の準備のためだ。こちらで産む、妻だけ地元で産む、娘を連れていって地元で産む……という選択肢があったが、娘マチ子の保育園のことや両親のことなどを含めて相談し、里帰り出産となった。
僕が仕事を終え家に帰ると、愛猫プッセがトトトと玄関まで出てきて僕にご飯をねだる。最近近所のノラが玄関に押し入ってご飯をつまみ食いしていくことがわかった。


職場などでその話をした際、かけていただく言葉はだいたい次の3つに分類される。

  1. 「ひとり暮らしで羽伸ばせるな」
  2. 「遊びすぎんなよ」
  3. 「奥さん居なくて淋しいろ?」
1.羽伸ばせるな

無難に「まあそうですね」と返事をする。
妻と娘との生活にはぜんぜんストレスを感じていないし、むしろ移住・転職前よりも3人と1匹で過ごせる時間が増えてとても充実している。ひとりで行きたい場所もないことはないのだけれど、買い物のついでに3人で行ってもいいし、子供を連れて行けないような場所も……あまりない。ひとりで参加するイベントの類のときも、妻と相談して行かせてもらっているので、現時点で特に不満はないからだ。
そういう意味で、ひとり暮らしになったからといって特に変化はない。むしろ、出かけたついでに古本屋で時間をつぶしすぎてしまったり、夜に意味もなく酒を飲んでしまったり、行動の生産性が極端に下がってしまった。羽目を外しているのとはちょっと違う気がする。

2.遊びすぎんなよ

これを言ってくるのは大抵年上の男性で、含み笑いをしながらなので、空気を読まずに明文化すれば「女遊びはほどほどにしろよ」という意味だ。それがギャグとして通用すると思ってるのかこれっぽっちも笑えねぇわ、と言い返したいのをおくびにも出さないようにしつつ、僕は「ハハハ」と乾いた笑いで返す。
冗談半分なのは百も承知なので、別にこれを言われたことで何かを考えたりはしないのだが、里帰り出産の話をするたびに言われるものだから、男をひとりにするとパートナー以外と関係を持ちたがるものだという共通認識でもあるのか? と不思議になる。

3.奥さんいなくて淋しいろ?

「はい、淋しいです。」


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僕たちが結婚してこの春で7年。結婚前にひとり暮らしもある程度したし、僕自身にいちおうの生活能力はあるつもりではいたけれど、なんかもう妻と娘がいないとダメだな、ということを再認識している。これを妻への依存と捉えるひともいるかもしれない。

妻がコーヒーを好んで飲むこともあって、家では豆を挽いてコーヒーメーカーで淹れている。僕はそれのおこぼれにあずかり、砂糖をたくさん入れて飲んでいる。コーヒーを淹れる一連の動作はもちろん僕にもできるけれど、それを自分ではやらないようにしていた。「妻にしてもらう」ことが楽しくて、なんとなくそれを残しておきたかったからだ。
妻は「自分で淹れなよ」と言うのだけど、僕は「どうしても飲みたくなったらインスタントコーヒーにするよ」とこたえる。それでいいはずだった。
この一週間、何度かインスタントコーヒーを飲んだ。味の良し悪しなんかわからなかったはずなのに、インスタントコーヒーをすすって「……まっずい」と口に出してしまった自分に驚いた。



どこでご飯を食べても「妻と食べたかったな」と思う。どこで写真を撮っても「妻と撮りに来たかったな」と思う。
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早くコーヒーが飲みたい。