紺色のひと

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残雪のひと

久しぶりに泊まりがけの出張が入り、札幌を離れている。天気は悪くないどころかむしろよくて、風さえなければ0℃を上回るんじゃないかとさえ思う程には暖かい。そういえば先日九州のひととメッセをしたら、「妹が『5℃だ死ぬ』って言ってた」と聞いて笑ってしまったのだった。笑ったけれど札幌生まれの僕は特別寒さに強い訳ではなくて、旭川とか中標津とかではさすがに凍えてしまうけれど、旭川は今あまり思い出したくない町なので、辺りを見回してみた。
廃線になった線路跡が放牧地を分ける防風林の間に通っていて、雪の下から笹が葉を出している。直線的な道路、牛の声、淋しい白樺の林、広がる牧草地、日本中の誰を目隠しして連れてきても北海道と答えそうな風景だけれど、そこから僕はやはり淋しさくらいしか感じなかった。ただ、風景の描写に心象を投影して浸る趣味はないので、ただそう思ったというだけだ。

出発前に言われた、「暇なら私のことでも考えてたらいいんじゃない?」という言葉が呪いのように残っている。別に暇じゃないけどさ。