北海道のローカルフードを語る上で忘れてはいけないのが飲み物の存在。ビールや乳飲料と並ぶ知名度を誇る炭酸飲料、それがガラナです。他の都府県では手に入りにくい一方、道内ではファンが多く、熱心なコレクターによる先行研究webも存在します。本エントリではそれらを参照しながら、道内で手に入りやすい3種類のガラナを飲み比べたり、ちょっと大人の飲み方を工夫したり、古(いにしえ)のガラナを紹介してみようと思います。
ガラナについて−その普及と現在−
そもそもガラナとは、南米アマゾン原産のつる植物の名前です。このガラナの種子からエキスを抽出し、飲み物にしたのが「ガラナ飲料」なのです。
それが何故北海道で普及したのか、について、「北海道ウォーカー」に面白い記事があったので取り上げてみましょう。
コカ・コーラの日本上陸に先立ち、炭酸飲料が売れなくなることを危惧した全国清涼飲料協同組合連合会が開発し、普及に取り組んだのが日本にガラナ飲料が持ち込まれたきっかけと言われています。
■なぜ「ガラナ」は北海道だけに普及したのか?
「コカ・コーラが日本に上陸し、やはり日本中にコーラ旋風が巻き起こりました。コーラが圧倒的なシェアを獲得するにつれ、ガラナ飲料の生産は低調になっていったのです。しかし、(本州から)北海道にコーラがやってくるまでに3年のブランクがありました。その3年の間に、ガラナ飲料は広く北海道民に定着したんです。内地のようにコカ・コーラ旋風を巻き起こすことはなく、今でも北海道で『ガラナ』が愛されているんですよ」(小原さん)
コーラに対抗!? 「ガラナ」は、なぜ北海道だけで広まったのか?−北海道ウォーカー
上記で取材に協力されている小原さんは、道内で大きなシェアを誇る(はずの)ガラナ、コアップガラナを製造する株式会社 小原の専務取締役だそうです。コアップガラナはガラナエール、そしてキリンガラナと並ぶ北海道三大ガラナとして知られているはずいます。
あまりにも多いガラナ飲料の種類について
ところで、北海道で販売されているガラナは上記3種類だけではありません。
wikipedia:ガラナ飲料のほか、独自ドメインを取得したガラナファンページGuarana Japanの北海道のガラナリスト、そして北海道ツーリング道北さんの北海道限定品:ガラナ(炭酸飲料)など、数え切れないほどのガラナを見ることができます。
僕もガラナにはそれなりにうるさいつもりでしたが、見たことないガラナのほうが多い…。こんな先行研究があったのでは、新規参入なんておこがましくてとてもできません。
ということで、僕は開き直って、入手し易い「北海道三大ガラナ」について皆さんにご紹介したいと思います。
北海道三大ガラナ
コアップガラナ
函館に本社を置く株式会社 小原の販売するガラナ。webページでもガラナをガンガン押してくるところが大変好感持てます。
このコアップガラナ、500mlペットボトルのほか、1.5lペットボトル、さらにオシャレなアンチックボトルも販売しており、オサレ雑貨のセレクトショップD&DEPERTMENT PROJECTでも扱われていたりします。
道内に拠点を置くコンビニエンスストアチェーン、セイコーマートではほぼ全店舗で取り扱いがあります(多分)。
ガラナエール
苫小牧に本社を置く株式会社丸善市町グループの販売するガラナ。この会社、丸善市町ではガラナのほか様々な炭酸飲料などを扱っていたり、一方でもやし工場をお持ちだったりと大変ユニークなのですが、歴史は古く、大正時代に樺太で生まれた僕の祖母から「樺太で丸善市町と言ったら知らないひとはいなかった」ほどだと聞き及んでいます。
ちなみに丸善市町では「ガラナS」「ガラナエールカロリーオフ」など多種のガラナを店頭販売中です。
大型スーパーの飲料コーナーなどでよく見かけます。
キリンガラナ
天下の飲料メーカー、キリンビバレッジが販売するガラナ。三大ガラナの中で最もよく見かけ、コンビニからスーパー、自動販売機まで、最も入手し易いガラナであると言えるでしょう。サイズ展開も豊富。
三大ガラナを飲み比べてみよう
左から、コアップガラナ→ガラナエール→キリンガラナ の順に並べてみました。コアップガラナは明らかに色が薄いですね。
キリンガラナはさっぱりとしていて飲みやすく、炭酸はややきつめな印象。ガラナエールは炭酸が最もきつく、独特の甘みがあります(原料に唯一「はちみつ」が記載されています)。コアップガラナは他の二種に比べると炭酸はやや弱めなものの、鼻に抜ける香りが強め…あえて悪く言えば薬臭い感じです。
ちなみに僕が最も好きなのはコアップガラナです。恐らく多くの人に好まれるのがキリンガラナ、最初のひと口が強烈においしいけれど500mlをひとりで飲みきるのがややつらいのがガラナエール……といった分けになりましょうか。
その他のガラナ
前述したように、北海道には他にも多くのガラナが販売されています。お土産屋さんなどでまりもっこりデザインのガラナを見かけたりもしますね。
以前本ブログでもちらっと紹介したことのある羆ガラナと白熊ガラナのほか、
サッポロウエシマコーヒーでも、北海道限定の「北海道ガラナ」、そして旭山動物園をプッシュした「地球(ほし)のガラナ」を販売しています。パッケージがかわいい。
大人のためのガラナカクテル
ガラナをもっと楽しみたい、そんなオトナなあなたのために、ガラナを使ったカクテルを僕が考案いたしました。ぜひご家庭でご賞味ください。
ラム×ガラナ
言わずと知れたラムのカクテル、ラムコークの応用ですね。コーラと同じ黒い炭酸だし大丈夫だろう、と初めて飲んだとき、僕はかなり強い衝撃を受けました。……臭い。薬臭い。ラムの匂いを完全にかき消すほどのガラナのコクの強さ! すごい!
なお、本エントリ作成にあたって、上記三大ガラナでそれぞれ試してみたのですが、
と、大変それぞれ特色のある味わいでした。
ちなみに僕はこのカクテルを「カモカモリバー」と名付けています。とあるビアバーで、ホワイトラムを使ったラムコークを「トヨヒラリバー」として出している*2ことにちなんだものです*3。このカモカモリバー、友人のいーちゃん( id:shokou5 )が来札の折、深夜のおかしなテンションで二人飲んだところ、薬臭さが妙にツボにはまり、「キマってきた…」「バッキバキにキマってきた…」と笑いながら飲んだ、思い出深いカクテルです。
ウィスキー×ガラナ
- ウィスキー 適量(なお今回はニッカのおじさんにご協力いただきました)
- ガラナ 適量
あまり面白みがなかったので結論から言うと、ウィスキーがガラナに負けてガラナの味しかしませんでした。さすが「ガラスの仮面」でマヤちゃんを酔わすのに使った女子御用達カクテル…! と妻がひとりで納得しております。
古(いにしえ)の時代(とき)を超えて蘇ったガラナたち
以上、ここまでメジャーなガラナを紹介して参りましたが、最後に雰囲気を変えて、足で探した「今は失われしガラナ」をご紹介します。
と表記されています。
続いて、HAYASHIYA SHOKUHIN(林屋食品?)ブラジルガラナ!
web上では林屋食品についての情報が見つからず、どんなガラナだったのかは不明です。
もはやヤクルトなのかスカッシュなのかガラナなのか不明な飲み物ですが、フォントがイカす!
さて、僕がこれをどこから集めてきたか、なのですが。
答えを先に行ってしまうと、放棄集落のそばで拾ったものです。
北海道にはいくつか、昔炭鉱で栄えた町が存在します。夕張がその代表ですが、それ以外にも点在しています。すごいところでは、昔は数万人が暮らす一大炭鉱町だったのに、今は既に住むひともなく、林に埋もれた当時の住居の基礎がわずかに残るのみ、という状況になっています。これらの瓶は、僕が以前そういう場所を散歩していたとき、草むらの奥で光っていたものです。
当時の生活をリアルに想像するのは難しいですが、昔そこで生活していたひとが、今僕が飲んでいるのと似たようなガラナを飲んでいたのかも、なんて思うと、なんだか素敵じゃありませんか?
以上、北海道限定飲料、ガラナの簡単な紹介でした。道内にお越しの際は、是非コンビニなどで手にとってみてください。そして条件が揃えば、バッキバキにキマってみてください。