紺色のひと

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うしなはれる道筋の物語

同じ市内にある実家へ、久しぶりに帰った。前回から数週間と経っていないはずなのだけれど、最寄り駅からの道筋、以前と変わったところがあまりに多かったように思う。
僕が物心ついた頃からあった、大きな通りに面したセブンイレブンが閉店していた。僕はどこでパピコを買えばいいのだ。近所の高校の隣にあった空家が更地になっていた。映画のポスターは随分前から入れ替わらなくなっていた。父の勤め先の向かいにある寿司屋は看板がそのままに閉店していた。そもそも入ったことすらない。
そういえば。母校から程近いローソンの馴染みの店長は店を辞めた。僕や従兄にCDを貸してくれたりしたし、学生の頃帰省の折には必ず挨拶に行った。個人商店は流行らないフランチャイズになり、結局そこにはマンションが建った。実家の隣ではついこの間までマンションが建設中で、隣家の広い庭の大きな木はすべて折り倒されてしまった。
何年も同じ道を歩いてきていると、失われるものばかりが目立つのか。あるいは、僕が喪失にしか気づかないだけなのか。哀しい気分に浸ろうとは決して思わないけれど、表立って荒れるのは哀しさばかりだ。