紺色のひと

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もちぐまん

読了。もはや他の作品を文庫化待ちしているのが馬鹿ばかしくなってきたので、さっそく集め始めようと思う。

四畳半神話大系 (角川文庫)

四畳半神話大系 (角川文庫)

「可能性という言葉を無限定に使ってはいけない。我々という存在を規定するのは、我々がもつ可能性ではなく、我々がもつ不可能性である」
師匠は言った。
「君はバニーガールになれるか?(中略)七つの海を股にかける大海賊になれるか? ルーブル美術館の所蔵品を狙う世紀の大怪盗になれるか?(後略)」
「なれません」

たいへん古典的であるが、私は手紙を書くのが大好きで、文通というものに昔から憧れていた。相手が妙齢の女性ならばなおのことだ。
(中略)この秘めたる思いを小津にもらしたとき、さんざん変態呼ばわりされた。弁解の余地もないほど卑猥な上目遣いをして彼は言った。
「それで見知らぬ女性に卑猥な言葉を送りつけて興奮するんでしょう。まったく手のつけられないエロなんだから困ってしまう。この桃色筆まめ野郎!」

好きそうなひとが頭の中に浮かんでくる文章。好みが別れると言えばそうなのだろうけれど、「あいつ好きそうだなぁ」と思ったらきっと、奴は森見を読んでいる。