紺色のひと

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女の子に初めてのメールをする100の方法

先日行われた中学の同窓会で、中学の頃一度も話したことがなかった女の子と挨拶をしたとき、学生の彼女が興味を持っている職業と僕が就いている職種の分野が同じで、所属していた学部も同じだ、ということがわかり、少しだけ盛り上がった。僕はその子の名前と顔がやっと一致する程度だったし、向こうも僕の名前は知っていたけれど、恐らくお互いに名前以上のことは知らない。彼女は中学の途中で転校してきたので、恐らく彼女と話したことのある男を捜すほうが難しかっただろう。
二次会で仕事の話聞かせてね、と言われ、僕も彼女が大学院でなにをしているか聞きたいと思っていたのでもちろん、と答え、一次会の会場を後にしたのだけれど、二次会が始まって何分もしないうちに彼女は終電の時間だからと言って女の子数人に囲まれるように帰ってしまった。近所らしいということも話の中でわかっていたので、僕は連絡先だけでも聞いておこうと見送りがてら席を立ち、彼女らと僕、それに主催者の男と一緒のエレベーターに乗ったはいいのだけれど、送り出すまでの1.2分で連絡先を聞ける雰囲気にはならず、僕と主催者の男は顔を見合わせて会場に戻った。彼は取り巻きどもが邪魔だ、とぶつぶつ言っていて、どうやら完全にオトす気まんまんのようだった。中学の頃の顔はよく覚えていないので初めて見るようなものだけれど、確かに彼女はとてもかわいいのだ。そういえば彼女は一次会で既に男どもから目をつけられて、主催者を中心とした活発な男どもの間ではあのうなじが、目元が、尻が、などとささやかれていたのだった。
さて、同窓会から二日経った今日、僕は主催者の彼に、彼女の友人のメールアドレスを教えてもらった。友人らから彼女の連絡先を教えてもらうか、僕の連絡先を伝えてもらえればいいな、くらいのことを考えている。主催者の彼はなんだか少人数での飲み会を開く気でいるらしく、彼女の友人らとは別のルートとやらでアプローチかけてみるわ、と言った。そうまで下心を丸出しにできるのはある意味尊敬に値すると思うのだけれど、こんなふうに新たに関係性を築くことに慣れていない、というよりも一度甘いものでも食べながら大学の話でも聞かせてほしいな、くらいしか考えていない僕は、正直勝手にやってくれと思っている。しかし彼は「彼氏いるし会うなら複数の飲みじゃなきゃ駄目っしょ!」とセッティングに躍起になっているようなので、僕は彼氏のいる女の子とふたりで会ってお茶をしながら話をするののなにがいけないことなのだろうと本気で疑問に思ったのだけれど、彼が言うには「友人を通して連絡先を教えてもらったのなら彼女らも誘わなきゃ駄目」「女の子なめたら駄目」とのことだった。場数を踏んでいるらしい彼の言うことが正しいような気もするし、自分の女性観がいわゆる世間様のそれと乖離を感じたのは一度や二度ではないこともそれを裏付けているように思えたけれど、それ以上に世の男性はこんな面倒くさいことをして気になる女の子の連絡先を得ようとしているのかと思うと、都会で学生時代を過ごさなくて本当によかったとため息が漏れた。
結局、僕はどうすれば件の子に連絡が取れるのか考えてもわからなかったけれど、ふたつ明らかなことがあって、いくら週末と言ってももう遅いのでメールは明日にしようというのと、こういうことを書くとまた恋人が変に勘ぐるのだろうなということなのだけれど、それがわかっているからと言って僕が取る行動はさして変わらないのだった。