紺色のひと

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トキの襲撃事故からみる外来生物問題〜その1.なぜトキを殖やすのか

はじめに

3月10日、佐渡市佐渡トキ保護センターで、飼育中のトキ9羽が死んだと発表されたのは記憶に新しいと思います。

環境省は10日、新潟県佐渡市佐渡トキ保護センターで、国の特別天然記念物のトキ9羽が死んだと発表した。施設内に侵入した野生動物に襲われたものと見られる。被害にあったのは今秋、3回目の放鳥に向けて訓練中のもので、今後の野生復帰計画への影響が懸念される。

http://mainichi.jp/life/ecology/news/20100311ddm041040141000c.html

その後の調査で、襲ったのは肉食哺乳類のイタチ科テン(Martes melampus)であること、順化ケージ内にテンが出入り可能な多数の隙間が確認されたこと、これらの隙間は設計・施工の段階から生じていたこと等が明らかになりました。
さらに昨年、同様の金網を用いた繁殖ケージ内にテンが侵入し捕獲されていたこと、これを受けて繁殖ケージについては補修が行われたものの、順化ケージに対しては実害がなかったため対策が行われなかったことが報道されました。
加えて、トキを襲ったテンが元来佐渡島には生息しておらず、人間の手で持ち込まれた国内外来生物であること、そもそも論として飼育中のトキも中国から提供されたのになぜ保護増殖をしているのか――など、様々な意見が見られるようです。これだけ状況が複雑化しているので、ひとつを取り上げると問題が次々と派生するのですね。


聞くところによるとテレビでは連日のようにこの話題を取り上げているとのことなのですが、残念ながら我が家では唯一のテレビ(16型・ビデオの壊れたテレビデオ)がスーファミ専用機となっているため、テレビニュースを確認できない環境にあり、本件に対する論調が不明です。
よって本エントリでは、主にweb上で見られた疑問点・反論を元に、トキと外来生物についての問題を整理し、どう対応すべきだろうか、ということを考えてみようと思います。
予定ではエントリを2つに分割し、

  • その1.そもそも、なぜトキを殖やすのか?
  • その2.結局、テンの事故ってなんだったのか

を主なテーマに書いてみようと思っています。

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