紺色のひと

思考整理とか表現とか環境について、自分のために考える。サイドバー「このブログについて」をご参照ください

おれがこの地を春にする

月曜までな、と言われていた仕事が終わらず、日曜に出社してそのまま会社に泊まった。日付が変わる頃に買出しでビルを出ると、地面の水たまりに波紋が広がっていた。もう雨になったかと思ったら屋根の雪が融けて滴っていただけで、でも風が確かに春めいていて、気持ちの喩えとかではなく、春が来ているのだと思った。
朝、7時半に会社を出てアパートに戻り、シャワーを浴びてつるつると滑る道を再びたどった。結局一睡もしていなくて、寝不足が直接体調を左右する僕はもうこの時点でふらふらなのだけれど、1月に結婚した先輩が「12連泊だよ」ともらしていたのを聞いて、一徹くらいで泣き言言ってたまるかと思ったのだった。午前中は頭痛と吐き気との戦いで、昼休みに机に突っ伏して回復を計ろうとしたけれど次の瞬間休み時間が終わっていた。年齢のせいとかではなくて、体力が落ちていると思う。雪が融けたらまた体を動かし始めたい。
仕事だったり、ひと付き合いだったり、気候だったり、少しずつ季節が変わっていって、僕はそういうことのひとつひとつをいちいち拾い上げていたいし、気づきたいと思う。今年は雪が多かった。浮かれてなんていないけれど、おれがこの地を春にする。


定時30分前、なんとか資料を打ち出して上司に渡す。上司はぱらぱらと捲って、はい、引き続きよろしく、と紙の束を僕に渡した。了解です、と答えて席に戻る。頑張ってる頑張ってる、と言われたけれど、それでも期待に添い切れていないのは自覚していて、悔しいから次こそはとまた思う。こつん、と僕の机にデカビタCが置かれて、はい、今日の残業代な、と上司は喫煙所に向かった。ちょ、今日は早く帰りたかった! 僕の声に笑って、いいよ、お疲れ、と応える。そう言われると区切りのいいとこまでやってきます、と言ってしまうのが僕で、別に構わないけれど、扱いやすい部下だろうなあと思うのさ。