紺色のひと

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スニーカーダンサー

街に出てスニーカーを買うことにした。そういえば新品のスニーカーを買うのは初めてかもしれないなと思った。家にあった父親の靴や、寮にあった古い履き古したコンバースを使っていたから、真新しいスニーカーなんて選んだことがなかったのだ。店員のお姉さんに「雨で染みたりしないやつがいいです」「赤とか入ってたら若者っぽすぎないですかね」「おれなんかが履いたら生意気じゃないですかね」と卑屈なことを言っては笑われ、結局服に合わせやすそうなデザインのを選んでしまうあたり、自分のことがよくわかっていない。アディダスのラインはなんとなく気を惹かれたけれど、なんだか若すぎてやめた。
札幌に越してきた女子大生が雪祭りを見たいというので案内役を仰せつかり、合流した。とはいえ、僕が中高生の頃は「雪祭りに行くと別れる」なんてジンクスも聞こえてきて、色気のない僕には当然無縁の話だったけれど、ともかく、女性と行くのも積極的に行くのも初めてだったのだった。ラーメンを食べたり牛乳で作った甘酒を飲んだりして、こういう楽しみ方もあるのかと考えさせられた。けれど僕がずっと考えていたのは隣の女子大生のことではなくてスニーカーのことで、これを履き古す頃、僕は誰とどんな生活を送っているのだろうということだった。
それにしても観光客が多くて、ひと疲れしてしまった。