紺色のひと

思考整理とか表現とか環境について、自分のために考える。サイドバー「このブログについて」をご参照ください

ひとりではコーヒーが飲めない

桜が咲いた。妻が、娘を連れて実家に帰ってしまってから一週間になる。 特に含みを持たせても仕方ないので書くと、里帰り出産の準備のためだ。こちらで産む、妻だけ地元で産む、娘を連れていって地元で産む……という選択肢があったが、娘マチ子の保育園のこと…

「楽しく田舎で暮らすために移住するのは質の低い移住者」と言われた気がした

この町では梅が見ごろです。古いレンズをここぞとばかりに引っ張り出して撮ってみています。妻と娘と一緒に食べた花見団子、本当においしかった。 こんなブログ記事を読みました。 http://yanodaichi.blog.jp/archives/1054603439.htmlこれを書いた方は矢野…

おれが山形県に移住して1年が過ぎました

「移住しました」「トマトが実際安い」「いいところです」といった移住報告はよく見かけるので、清濁含めての印象をまとめてみようと思いました。ちょうど一年前、「だるろぐ」さんの「愛媛・松山に移住して1年経ちました。 - だるろぐ」という記事を読んで…

自然描写が気になって「ゴールデンカムイ」が楽しめない

北海道とアイヌ文化と狩猟、いろいろなエッセンスが詰まった「ゴールデンカムイ」、人気ですね。僕にとっても興味のある分野を取り上げた漫画で、面白く読んでいました。ただ、自然の描写……特にカジカについて個人的に非常に気になる点があったので、メモ程…

ただ春を待つのが

よく晴れた、明るい週末になった。 少し乾いた空気、強い西日。日が沈んだときの大気の匂いは、10年以上前にひとり暮らしを始めたばかりの時のそれによく似ていて、新しい季節の高揚感を思い出させる。 恩義ある方の訃報が届き、通夜と告別式に参列した。式…

結婚披露宴の写真を頼まれても、お断りする理由がある

「結婚披露宴で、写真撮ってくれない?」親戚や友人に「写真を趣味にしている」と認識されていると、披露宴などの写真係を頼まれることがあります。結婚おめでとう! 心からお祝いするよ。ただ、頼んでくれること自体は嬉しいのだけれど、こちらにも安易に請…

3歳からのおすすめ科学絵本セレクション

娘マチ子、もうすぐ4歳になります。毎晩読み聞かせをしているせいか、今のところ本好きに育ってくれていて、文字への興味も強くあるようです。平仮名は読めるようになったけれど、まだ字を追っているだけで、読んでそのまま意味をとることはできていないみた…

梅は咲いたか

通りがかった公園で、梅の花が咲いているのを見つけた。 正直なところ、梅の花にはあまり馴染みがない。 僕らが長く住んでいた北海道では、梅は桜とだいたい同じかその少し後、5月の頭の連休に咲くものだった。その頃には大体みんな花見で浮かれていて、エゾ…

方言の旅

僕が暮らすやまがた県では、県内地域によって方言に大きな差があることが知られている。「そうだね」を表すものでも「んだず」「んだの」「んだにゃ」など異なる語尾変化が生じるのに加え、地域内でもかなり差があるという。 ここは県西部、庄内地方。北前船…

朝食が楽しみになる!バルミューダのトースターにしたら食生活がアセンション

我が家に"感動のトースター"バルミューダ ザ・トースターがやってきました。妻の喜びようとは裏腹に、たかがトースターと疑いの目を向けていた僕ですが、食べてみたら手の平返しをしたくなりました。レビューというより、日記です。もちろんステマではありま…

2015年夏休み、はじめての九州南薩紀行

2015年8月末、初めて九州を訪れた。まとまった文章が書けず、ずいぶん時間が経ってしまったけれど、僕個人にとってもとても大きな思い出が残る時間だったので、言葉と写真として遺しておこうと思う。どこに行った、何をしたというのは一緒に行動したおふたり…

2015年、旅立ちのソフトパレード

2015年、僕はいわゆる人生の転換期を迎えた。新卒から9年間勤めた会社を辞め、やまがた県に移住する決断をしたのがそれだ。 心づもりは2014年11月頃の時点でできていて、それを年が明けた1月に上司に伝えたところから旅立ちが始まる。 これを書いているのは…

鮭累々

サケが累々としていた。 そこは孵化場で、川から引かれた水路に導かれるようになだれ込んできたサケが、すのこの上に次々と揚げられて、システマチックに――と表現するにはあまりに原始的だけれどシンプルで美しい手法によって、腹を割かれてゆく。卵はひとと…

いまさら『氷菓』の話をしよう

米澤穂信の青春ミステリ小説「古典部シリーズ」を京都アニメーションがアニメ化した「氷菓」。原作を何度も読んでいたこともあり、アニメが始まるのを大変楽しみにしていたのだが、放映時にはほとんど見ることができなくて、この度ようやく全話を通して見終…

絵本「せいめいのれきし」に改訂版が出ました

絵本「ちいさいおうち」で知られる作家、バージニア・リー・バートン。彼女の作品の中で、いえ僕がこれまで読んだ絵本の中で、もっとも好きなのが「せいめいのれきし」です。幼い頃から何度も繰り返し読んで、娘にも何度も読み聞かせたこの本。この度、やや…

からだの経験値を稼ごう

4月の末くらいまで、家のすぐ裏でウドとタラの芽、コゴミがたくさん採れた。シドキと呼んでいたモミジガサも少し生えていたので、一度摘んできた。5月に入るとフキが伸び始め、作業道の脇にはミズと呼ばれる青い葉がだんだんと丈を高くしていった。 ミズ、フ…

西の・光が・強い・ところ

十年前、この土地で暮らしていたときから、西日の強さが気になっていた。春霞のけぶる稜線がシルエットとなり、近くの小高い山々の、スギや葉桜、竹林が明るく浮かび上がる。水が入る前の田はトラクターで掘り起こされ、乾いた空気に細かな土ぼこりを舞い上…

今日までの人生とこれから

本日付で、新卒入社した会社を退職した。辞める決断をしたときはこの先どうなるのだろう、どうすればいいのだろう、という不安と、それでも前に進まなければいけないという焦燥感が強くあったが、決めてしまってからは、行動のひとつひとつが前向きな何かに…

そんな宛名のない手紙:やまがた県に移住します

こんにちは。なんでも地球温暖化とか異常気象に結び付けて語りたがるひとに辟易する今日この頃、あなたがいかがお過ごしか皆目見当もつきません。 春から生活が一変するので、この場をお借りして報告いたします。 家族で山形に移住することにしました*1。ち…

熊森協会の言う『餌付け』とは一体なんなのだろうか

日本熊森協会さんは、奥山保全などの活動をされている実践自然保護団体です。ただ、その活動や自然保護観は、一般的な保護・保全手法と一線を画しており、観念がズレていたり、思い込みが過ぎるように見える部分があったり、独自定義の語を使ったりしている…

2014年、ソフトパレードの足踏み

あまり振り返りたくない、思い出したくない年になった。「仕事が忙しい」という言葉で片付けてしまえる。別に僕は「ていねいに暮らす」とかそういうことを意識しているつもりはないのだけれど、時間に追われて自分のための時間や家族との時間が削られるばか…

バターサンドだけじゃない!六花亭の底力、喫茶室を知っているか

北海道が誇る定番みやげのひとつ、マルセイバターサンド。この美味しさは六花亭の名を全国に轟かせていますが、どっこい底力はこんなものじゃない。六花亭の真髄はケーキや軽食を楽しめるイートイン、すなわち「喫茶室」にあると言っても過言ではありません…

銃のあけぼの

2014年12月22日、空気銃を持った。 狩猟免許試験(第一種銃猟、わな猟)も2014年の秋に受かっているので、あとは自治体に狩猟者登録をすれば晴れて出猟できるのだけれど、今年は日程の都合上無理そうなので、射撃場が空くのを待っている状態だ。一年前、「持…

掌編私小説「リバーズエンド」

車の少ない国道を走っている。小さな橋を通り過ぎようとしたとき、ふと何かが引っかかって、車を停め川原に降りてみた。礫の大小が揃わず、足元が沈むそこには、わずかに腐臭が漂っている。何かが引っかかったと言ったけれど、この匂いを走行中の車から僕の…

時には写真の話を

ここ一年くらい、休日にカメラを持ち出すことが減っている。カメラが重いとか、おむつセットをザックに入れるとカメラのスペースがなくなるとか、細かい理由はいくつか思いつくのだけれど、一番自覚があるのは「積極的に写真を撮ろうという意欲が薄れている…

大阪の錯誤捕獲クマについての簡単なまとめ(追記あり)

2014年6月、大阪府でツキノワグマが捕獲されました。イノシシ・シカ用の罠にかかったもので、こうした「錯誤捕獲」による動物は、原則として放獣するよう環境省から指針が出ています。しかし、大阪府ではツキノワグマが生息していないと思われており、捕獲時…

ウチダザリガニを食べて、外来生物のことを考えてみた

少し早いお盆休みを取って、北海道の東側に行ってきました。 目指すは道内でも数少ない怪獣伝説のある湖、屈斜路湖! 当然怪獣の名前はクッシーなのですが、似た名前のクッタラ湖やクッチャロ湖にクッシーはいるのだろうか、とかそんな非建設的なことを考え…

合唱曲

自分の誕生日を忘れてしまいそうな毎日を過ごしている 娘と妻の待つ家に帰ることを心待ちにしながら日中を過ごしている この先どのように生きてゆけばいいのか、たまに考えながら過ごしている この日常から逃げ出す逃避行の現実味のなさに怯えながら過ごして…

おーちゃんクッキーのひみつ

祖母がつくるクッキーはおいしい。とてもおいしい。厚地で硬めでぱりっと食べ応えがあり、甘すぎずにクルミが香る。従弟たちも「ばあちゃんのクッキーは食べだすと止まらない」「やっぱりこれが一番」と口を揃える。レシピは娘である僕の母にも受け継がれて…

花の名という題名_2014

ずっと、「あの花の名はなんだ」というタイトルの小説を書きたいと思っている。 ――花の名という題名 - 紺色のひと 仕事の内容や愚痴についてはwebに書かないようにしている。 誰が見ているかわからないから、という理由が第一にあるが、それ以前に自分が感じ…