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紺色のひと

思考整理とか表現とか環境について、自分のために考える。サイドバー「このブログについて」をご参照ください

おれが山形県に移住して1年が過ぎました

生活

「移住しました」「トマトが実際安い」「いいところです」といった移住報告はよく見かけるので、清濁含めての印象をまとめてみようと思いました。ちょうど一年前、「だるろぐ」さんの「愛媛・松山に移住して1年経ちました。 - だるろぐ」という記事を読んで「移住しました、でぶん投げっぱなしじゃなくて、一定期間後にデメリットも含めて振り返るのはいいな」と感じたこともあり、僕もやってみようと思います。
(僕が公開しているのは「やまがた県に移住しました」というところまで*1で、自治体に関する話はあまり具体的には書けないので悪しからず)
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移住の理由

理由については一年前のこちらの記事にまとめてあります。

「学生時代を過ごした山形県で、家族と生活したかったから」です。仕事があるからとか、都会暮らしが嫌になったとかではなく、土地ありきの理由ではありました。以前は北海道札幌市に住んでおり、地方都市ながらも一応の都会っ子でした。


環境

僕が住んでいるのは、県内西側の庄内地方。人口が比較的上位の市で、その郊外に一軒家を借りているかたちです。
「別に田舎暮らしがしたくて移住したんじゃない」と何度も繰り返してきたのですが、実際田舎暮らしを満喫しているように見えてしまうようで、最近は否定するのをやめました。

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これは家の近くではないですが、夜はこんな感じで暗いです

いきもの関係

虫が多い。まあ多い。田畑も近いし、家も古いしで蚊やカメムシ、蜘蛛の類はごくごく当たり前です。僕も、そして何より妻も虫を苦にする性格でなくて良かったです*2。というか「いわゆる虫が苦手な人」だとストレスを溜めそうです。
家には池があって、アカハライモリとかカエル数種がいたりして、北海道にはない生物層に驚くことが多いです。哺乳類も見たことないの(アナグマやハクビシン)が居たりします。ホタルも飛ぶ。
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また海や川が近く、潜ったり泳いだりするには絶好の土地でもあります。海水浴場近くの岩場でちょっと潜ったらイシダイやクロダイが群れてたのには感動しました。
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季節と寒暖

ソメイヨシノが咲くと「ああこれが本州の、日本の春か」みたいな気持ちになります。夏はがつんと暑く、冬はきちんと寒い。北海道よりも四季がはっきりしている印象がありました。僕は夏の暑さも含め、東北の気候が好きでこちらに来たのですが、妻は暑いのが苦手で、時期によりつらそうでした。
雪が多いとは聞いていましたが、僕も妻も北海道で生まれ育っているので、あまり心配はしていませんでした。驚いたのは雪質で、水を含んで重いので、雪かきの手間や使う筋肉が全然違うこと。そして、これもよく言われることですが、古い農家造りの家は隙間が多く、暖房を焚いてもすぐに冷えてしまいます。薪ストーブを設置しましたが、薪の備蓄があまりなく途中から灯油ストーブに切り替えて凌ぎました。次年度の課題です。
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交通

自動車必須の地域です。普通乗用を一台持っていきましたが、僕が仕事に出ると妻が家に閉じ込められてしまうので、通勤用に軽を一台用意しました。
公共交通機関で県内他都市に行くのにはJRよりも長距離バスが主流で、山形市までは2~2.5時間程度、仙台まではさらにプラス1時間。この町の若者は、セールの時期なんかだと仙台まで足を伸ばすか、新潟まで行ったりするそうです。
なお、最寄の庄内空港に東京便があるので、東京行きは非常に楽です。東京から遊びに来るのも楽。
ただし、僕らの実家の札幌に帰省しようと思うと、

  • 秋田まで車で移動、新日本海フェリーで苫小牧まで→JRか車(安いが丸一日かかる)
  • 仙台まで車かバスで移動、仙台空港-新千歳空港→札幌までJR(早いが金がかかる)
  • 庄内空港→羽田空港乗り継ぎ→新千歳空港(一番楽)

などのルートを取る必要があり、ちょっと面倒くさいです。学生の頃は秋田港に車を置いて安旅が出来たのだけど…



仕事

仕事ありきの移住ではなかったこともあって、年収は1/Xに減少しました。織り込み済みで貯金もしてはいたのですが、さすがに苦しいので来年度はもう少しまともに働くつもりです。

なお、山形県の最低賃金は696円、東京都と比べ200円ほどの開きがあります。
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地域別最低賃金の全国一覧 |厚生労働省より作成。オレンジが山形県、黄色が他の東北5県、緑は北海道

この一年、ハローワークなどで情報をチェックしていた印象としては、

  • 福祉や工業ライン系の求人は正規非正規を問わずある
  • 事務職も数はあるが、月額10~15万程度(工業・林業系などの事務もちらほら)
  • 書店等に置いてある求人誌にはそもそも山形市の求人ばかりで、この町のものがほとんどない
  • 僕や妻が興味を引かれる求人は少なかった

こんな感じでした。

北海道での前職がかなり特殊な技術職であったため、それを活かせる仕事の求人はほとんどありませんでした(同業に就くつもりもなかったけれど)。勤務先との折り合いがつけば、今後副業として何かできればいいかなとは思っています。


生活のこと

食べ物

ラーメン

学生の頃は知らなかったのだけれど、山形県は人口10万人あたりのラーメン店数および年間1世帯当たりの中華そば(外食)の支出金額が全国一位だそうで、よく「全国一ラーメンの好きな県」と言われているようです。確かに店の数はやたら多い。札幌から来た僕が言うんだから間違いありません。
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しかしなんというか、札幌の中太ちぢれ麺に馴染んだ体には、手打ちの平麺や魚介系の強いスープが出てくると「これはおれの知ってるラーメンとは別の食べ物だ…!」と感じることが多々あり、慣れるのにはまだ時間がかかりそうです。おいしいんですけどね。

食材

海が近い土地であることもあり、お魚がちゃんと美味しい(妻談:マグロがおいしいのは想定外)。古くから農業をやっている土地が近く、米がおいしくて野菜も安い、そして果物の種類がやたらに多い。果物系ジェラートなどが異様に安くうまい。キノコが異様に安い(妻談:シメジのWパック98円って何?)。ありがたいことです。内陸のさくらんぼに対抗できる農産物といえば、庄内では「だだちゃ豆」でしょうか。
と言いつつ海鮮丼の写真。
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またお米、店頭で一般的な「はえぬき」もおいしいのですが、県が最近イチオシの「つや姫」がいい。毎日食べるにはちょっと甘いですが、外食などでこれが出てくるとすごいごちそう感があり、楽しめます。やまがたにきたら是非食べてみてくださいね。
ちなみに、映画化・ドラマ化した往年の人気漫画「モテキ」では、主人公と女友達いつかちゃんがクラゲの水族館に行って「美味っ! 米美味っ!」と驚く描写があります。あれも庄内地方です。

育児関連

娘が保育園に通っています。市街地の保育園・幼稚園は都会ほどではないにしろ早くに埋まり、友人は郊外の園にバスで通わせているとか。札幌に居た頃ほど競争率は高くなさそうな印象です。
なおこのあたりの自治体だと、医療費は中学3年まで無料。
そのほか、

  • 子供を無料で遊ばせる施設がちらほらあってきれい
  • 県の事業「やまがた子育て応援パスポート」は飲食店等でサービスが受けられたりクリーニング代金が割引になったりして、自治体として「子育てに協力的だぞ」という姿勢を感じる

など。

温泉

山形県といえば、全自治体に温泉が湧出すると噂。庄内でも同じで、あちこちに温泉や公衆浴場があります。数えてみたら、一時間圏内に日帰り温泉施設が23箇所ありました(酒田市と鶴岡市の日帰り温泉|公衆浴場|スーパー銭湯)。


その他

移住に関する雰囲気…というか

この記事もどこで誰に読まれるかわからないので、あまりめったなことを書くつもりはないのですが、と前置きして。
山形県や市町村では移住促進に関するプロジェクトに力を入れているようで、地域おこし協力隊や自治体が中心になって、移住者支援などの取り組みをしているところが多く見受けられます。僕も一部の補助金制度を利用させてもらっており、ありがたいことだと思います。

ただ、なんというか。積極的に移住した方々の一部、あるいは情報発信側に垣間見える、いわゆる意識高い系ウェイウェーイのノリが苦手で、距離を置いてしまいます。
僕は、暮らすことそして生きることに、言葉以上の意味を求めないことにしているつもりです。地域振興、観光資源開発、小商い……地方ではたくさんの取り組みがなされているけれど、自分が暮らすことの目的をカテゴライズされているようで具合が悪いのです。もちろん、そういった取り組みそのものの是非や、取り組んでいるひとをどうこう言いたいのではなくて、生きることに対して僕が求めているものとは微妙にズレを感じている、というだけの話です。
移住の最たる理由である「素敵な土地だと思ったので暮らしたい」というのを他人に納得してもらうのは難しいし、その必要性も感じません。それ以上のことを言語化しようとすると、その過程で何か聞こえのよい言葉で理由が後付けされてしまうようで、多分僕はそれが嫌なのだと思います(あるいは、ただの同属嫌悪なのかもしれないけれど)。
僕みたいに合わないひとがいる一方、そのノリで移住を決意するひとだっているでしょうし、それ自体いい悪いの話ではない、というのは改めて主張しておきます。

このあたりの違和感については、いずれきちんと向き合わないといけないとも感じているので、どこかでまたまとめて書くかもしれません。

お墓の立地

田んぼの真ん中にお墓があるのは何故。
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札幌だと集合霊園がメインなので。北海道の各地でも集落の外れや山際にあることが多く、田んぼのど真ん中に突如現れる(集落からも独立している)のは不思議。

方言

いわゆる庄内弁。猟友会のおじさま方とお話する時など、リスニング能力が試されます。娘は保育園で少しずつ染まっている模様。
asay.hatenadiary.jp

まとめ

やまがた、いいですよ。
僕のやまがたに対する、そして庄内地方に対するイメージには、学生時代のいい時代だった記憶によるバイアスが多分にかかっていることは否めません。なので、僕は他と比べて利便性や優れた点がどうの、という語り方ができないんです。
やや見切り発車ではあったけれど、引っ越してきて、一年暮らしてみて、「仕事をなんとかすれば暮らしていけるな」という実感がありました。それが一番ままならねー部分でもあるので、全然解決してはいないんですけれど、そのあたりも含めあと数年内にかちっとしたいです。

本記事内では観光や遊ぶ場所――たとえば県内唯一のミシュラングリーンガイド・三ツ星に選ばれている羽黒山の杉並木――について一切触れませんでしたが、もうちょっと近隣を探索してみて、いずれご紹介できればと思います。「『若い人が遊ぶ場所がない』と地元のひとが言う問題」についても考えていきたいです。
東京の方は飛行機で一本なので、積極的に遊びに来てお金を落とし、地域活性に貢献していただければと思います。

(移住初年度に遊びに来ていただいた方々の力強い背中画像でお別れしましょう)
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*1:意図的に居住地の町の名前は出さないようにしているので、ここでもそれを継続します。自治体の数も限られてはいるので、一応。土地勘がある方だとバレバレだと思いますし、これ以前の記述でも自治体名は特定可能なのですが、できればコメント等での言及は避けていただけるとありがたいです。

*2:便所コオロギことカマドウマさんだけは苦手だったが、ヒキガエルを飼うようになってからは「やった(カエルにあげる)ご飯だ!」と平気になったとのこと。

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