紺色のひと

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春が来たりて風が吹き、氷は海へと還るのだ

三月。年度末のこの時期は、毎年忙しい日が続くのだけれど、今年のそれはちょっと尋常ではなくて、二月の中頃から休みなしでの出社が続いた。今月の頭に一度、三連休で山形に行った他は、休みの日に娘と遊ぶこともできず、粛々とおしごとをこなさざるを得なかった。
そういうのが普通になりかけていた今日、ようやく山を越えて、ひと息つけるかな、というところまで来た。この二三日、北海道ではとても暖かい日が続いていて、遠くまで霞んだような空気に満ちていたのだった。車で都市間を移動するときも、そのもやもやや、夜になって急に気温が下がって川の周りに濃い霧が出たり、吹きさらしの高速道路で強風に煽られたり、季節の変わり目で大気が大きく動いているようだった。




季節の変わり目で動いていたのは大気だけではなくて、流氷もだった。


僕は流氷にほとんど馴染みが無い生活を送ってきた。今回はたまたま行き先の近くの海で残っていたので車を停めてみたのだけれど、もうシーズンも終わりかけで融け始めているのに沖のほうまで続いている雪と氷の層の迫力はさすがで、多分これを見たら、歩いて先のほうまで行ってみたくなるひとは大勢いるだろう、と思って少しだけ上に乗った。


一度やってみたかったのでとても感動したのだけれど、スーツも着ていたし、うっかり落ちたら洒落にならないので、そのあたりの心のざわつきを必死に抑えながら、一歩一歩探るように氷の上を進んだのだった。



岸と流氷の間に少しだけ水面が開いていて、舐めてみるとほとんど真水に近かった。その日はまるで波が無くて、おそらく塩水と分離して底のほうに塩っけが沈んでいるせいで、表層が薄味だったのだろう。ついでに流氷もかじってみた。アムール方面の氷は道産のものとあまり変わらない味だった。






ところで、PM2.5の観測地が室蘭などで高くなったというニュースも聞かれて、上司は「黄砂でも飛んできたか」なんて言っていたのだけれど、僕はむしろ雪解けで地表に出た泥の飛沫が乾燥して大気に満ちておる(王蟲の怒り的な意味で)のではないかと思っていて、どちらにせよ移動中の社内で彼らの吐く副流煙に晒されている僕にとってはどうでもいいことだった。

室蘭市は27日午前8時、微小粒子状物質「PM2・5」の大気1立方メートル当たりの1日平均濃度が、環境省の暫定指針(70マイクログラム)を超える可能性があるとして、ホームページ(HP)などで住民に注意喚起を行った。PM2・5で注意喚起が出されるのは道内の自治体で初めて。
PM2・5濃度上昇 室蘭市で北海道初の注意喚起 登別市でも−北海道新聞



札幌市大気環境観測データ速報システムより平成26年(2014年) 3月22日(土)から平成26年(2014年) 3月28日(金)のデータを引用
オレンジ色の線は「暫定的な注意喚起レベル」、緑の線は「環境基準値」



とりあえずひと息をついた、春を迎える日の記録として。