読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

紺色のひと

思考整理とか表現とか環境について、自分のために考える。サイドバー「このブログについて」をご参照ください

出すのはムダなの!?「コピペでパブリックコメント」の問題点

生活

「パブリックコメント」をご存知でしょうか。政策などを決めるにあたって、国民からの意見を聞くための制度です。このパブリックコメントを巡っては、以前から「コピー&ペーストによる同一意見の提出」が問題視されています。なぜ、コピペではダメなのか? どんな意見が求められているのか? について考えてみたいと思います。



*1

◆三行まとめ

  • パブリックコメントは署名ではありません。多数の同じ意見ではなく「様々な意見を聞く」ための制度です。
  • コピペで送っても1件に集約されてしまって、あなたの問題意識がもったいない。資料をしっかり読んで、自分の意見を自分の言葉で書きましょう。
  • コピペの大量送付は、意見を送る側にも受け取る側にもデメリットが大きいです。呼びかけた方も賛同した方も、よくよく考え直して。

もくじ

  1. 日本でのパブリック・コメント制度の概要
    1. 法の目的
    2. どんな意見が求められているか
  2. 「コピペでパブコメを送ろう」の問題点
    1. 「なぜコピペではダメなのか」
    2. 「多数決ではないけれど」…?
  3. 僕たちはどうすべきか
    1. 自分の言葉で語ろう
    2. まとめ
  4. 参考:実際の事例
    1. 「コピペでパブコメ」の事例(賛同側・反対側)
    2. 岩手県の「第3次ツキノワグマ保護管理計画(案)に関する熊森協会の行為
  5. 参考資料
    1. webサイト、ブログ等
    2. 書籍

なお、本エントリはやや長いため、「コピペでパブコメの何が問題なの?」が知りたい方は2.および3.をお読みください。4.以降は、実際の事例(動物愛護団体のブログがきっかけでコピペパブコメを呼びかける声が多く上がった例)および参考資料の紹介となります。



◆日本でのパブリックコメント制度の概要

法の目的

本題に入る前に、「パブリックコメントとは何か」について調べてみましょう。
総務省のWebサイトでは、パブリックコメントを

国の行政機関は、政策を実施していく上で、さまざまな政令や省令等を定めます。これら政令や省令等を決めようとする際に、あらかじめその案を公表し、広く国民の皆様から意見、情報を募集する手続が、パブリックコメント制度(Public Comment,意見公募手続)です。
パブリックコメント制度(意見公募手続制度)について−e-Gov(総務省)

と説明しています。
また制度の目的として、以下のように説明しています。

パブリックコメントは、国の行政機関が政令や省令等を定めようとする際に、事前に、広く一般から意見を募り、その意見を考慮することにより、行政運営の公正さの確保と透明性の向上を図り、国民の権利利益の保護に役立てることを目的としています
パブリックコメント制度(意見公募手続制度)について−e-Gov(総務省)

また、パブリックコメントの特質として、関連書籍では

”民主主義的参加手続という性質をもつ手続であると同時に、主権者たる国民・住民以外の者も含む多くの者からの情報または専門的知識の収集をも目指した手続きである”
”パブリック・コメントは、行政の行う意思決定過程におけるできる限り多様な考慮事項の集約を図るための手続き”
住民参加のシステム改革―自治と民主主義のリニューアル」2003年 第9章「パブリック・コメントの意義と課題」豊島明子*2 P186より引用

であるとされています。
つまり、事前に原案が公表されることで、法や条例を定めるまでの流れがわかりやすく・見えやすくなること。そして原案に対して国民から広く意見を求めることで、国民ひとりひとりが意思決定に参加できるようになること。こういった目的の制度なのですね。


この図はパブリックコメント制度(意見公募手続制度)について−e-Gov(総務省)より引用させていただきました


どんな意見が求められているか

では、実際にパブリックコメントで求められているのは、どんな意見なのでしょう。せっかく送るのだから、自分の意見を反映してほしいですよね。
ここでポイントになってくるのは、求められているのが「多様な」意見だ、という点です。
政策の立案に関わり法案や条例案を決めるのは、官僚や地方行政の一部の方です。ここに偏りが生じないよう、専門家の意見や、あるいは市民目線の意見を広く募集する……という制度の目的をふまえた上で、意見を送る必要があります。


先の関連書籍には、

パブリック・コメントは(中略)提出された意見の多寡によって事を決する多数決的な手続ではない
住民参加のシステム改革―自治と民主主義のリニューアル」2003年 第9章「パブリック・コメントの意義と課題」豊島明子 P189より引用

と解説があり、またパブリックコメント制度を定めるにあたっては行政側から

注意すべき点は、本手続は多数決を求めるものではないということである。すなわち、単に行政側の案に賛成・反対であるという意見ではなく、合理的な理由に裏付けられた意見・情報を行政は求めているのである。
ジュリスト 1999年7月1日号(No.1159)」 特集「規制の設定等に係る意見提出手続(パブリック・コメント手続)の導入」 P92より引用*3

と説明されています。


ここまでのまとめ

  • パブリックコメントは、「事前に、広く一般から意見を募り、その意見を考慮する」。
  • 多数決ではないので、「誰かと同じ意見」は求められていない。
  • 市民目線の、合理的な理由に裏付けられた意見や情報が求められている。

◆「コピペでパブコメを送ろう」の問題点

「なぜコピペではダメなのか」

以上をふまえて、「コピペでパブコメを送る」という行為について考えてみましょう。

「コピペで送る」というのは、『元になった意見と私は同じ意見です』という意思表示です。
しかし、パブリックコメントは「多いほうの意見を採る」という多数決原理に基づく制度ではありません。「多数決ではない」というのは、集まった意見の量は考慮せず、意見の内容だけが判断基準になる、ということです。同じ意見を何通送っても、「この意見は1件」として扱われます。
これは、「集まった数の多さ」が重要になる署名活動などとは大きく異なる点です。


「コピペはダメ」というより、同じ意見を送っても考慮されない、と言ってしまっていいかもしれません。考慮されないのは、別に行政の怠慢でもなんでもなく、そういう仕組みの制度だからなのです。
せっかく送ってムダになるよりは、活かしてもらえるような送り方をしたほうがいいですよね。


パブコメを受け取る側の方が、twitterでこんな発言をされていました。とてもわかりやすいので紹介します。

「多数決ではないけれど…」

一方で、「コピペで送りましょう」と呼びかけている方もあちらこちらで見かけます。その方たちがよく用いる言葉に「多数決ではないけれど〜」というものがあります。

パブリックコメントは多数決ではありませんが『○万の数の意見』は、確実に大きな追い風になります」とか、「パブコメは多数決ではありませんが、集まる意見数は民意を表し、国や審議会に多大な影響を与えます」というものですね。
これまで書いたように、パブリックコメントは「集まった意見の数」ではなく、「意見の内容」を反映するための制度です。パブコメが何通集まろうと、同じ意見は同じ意見として集約され、1件として処理されます。
コピペが集約される、自分の意見として扱われない、数としてはカウントされるけれど何の効力も持たない、それがわかってもコピペで送りたいんだ! とお考えであれば、僕に止めることはできません。コピペというお手軽な手段で「自分の意見を国(や自治体)に届けたんだ」という実感を得る事ができるでしょう。


しかし、これには大きなデメリットがあります。制度上求められていない方式を続けると、パブリックコメントの機能を損なうばかりか、この制度が「国民の意見を聞く」という形だけのものになってしまうことにも繋がりかねません。自分のやることが、この国の民主主義を揺るがしかねない行為なのだ、と考えるべきではないでしょうか。


考えてみてほしいのです。「多数決ではないけれど追い風になる」「力になる」。それは、誰にとっての力になるのですか? 数の論理ではないとわかっていながらコピペでの提出に参加したり、「これだけの数が集まった」と言うのは、自己満足に過ぎないのではありませんか?


また、同一意見のものが大量に届けられてしまうと、それを集計する行政側の負担が大きくなります。その分、通常業務に割く時間が削られることになります。リソースの無駄遣いという意味で、「行政に抗議電話をかけるよう呼びかける」行為と共通点があると言えます。




◆僕たちはどうすべきか

自分の言葉で語ろう

では、僕たちは、どんなパブリックコメントを送るべきなのでしょうか。その答えはとてもシンプルだと僕は思います。
パブコメには、自分が問題だと思っていることを、自分の言葉で書けばいいのです。


「同じような問題意識を持っている人々がこんなにたくさん居るんだ!」ということを主張したければ、改めて署名活動を行うべきでしょう。パブリックコメント制度の場で署名活動を行っても、問題意識が空回りしてしまうだけです。
「どう書いたらいいのかわからない」とお困りの方も多いようです。幸い、定められたテーマを守れば様式は自由のことが多いようなので、自分がその問題についてどう考えているのか、何が問題だと思っているのか、どうしてほしいのか……といったところを、率直に書けばよいのではないでしょうか。

もし、コピペでしか提出できない、というのなら、「まずは関与しているアクションに対し、自分の言葉で意見を語れないことを問題視した方がいい」かもしれません。


自分の意見が、国や地方の行政に参与できる重要な機会です。ルールを守り、責任を持って意見を書くように心がけましょう。


まとめ
  • パブリックコメントは署名ではありません。
  • せっかくパブリックコメントを提出するなら、集約されるコピペより、自分の意見を自分の言葉で書いたほうがいいです。制度に則って、いち意見として扱われる意見を提出するほうが、その問題に対して有効です。

◆参考:実際の事例

「コピペでパブコメ」の事例(賛同側・反対側)

ここまで、「コピペでパブコメ」という行為の是非について、一般的なお話をしてきました。ここからは、実際にあったコピペ提出について、いくつか例を挙げてみようと思います。コピペ提出の例は制度に賛成・反対どちらの側でも見られ、提出する側が制度を正しく理解していないことの裏返しに思えます。もちろん行政の側も、「どのような制度なのか」「どういった意見がほしいのか」について、積極的に情報開示することが必要と考えます。



◇八ツ場ダム建設に関わるパブリックコメント(2011年)
建設推進側である埼玉県の自民党県議連がノルマを課して呼びかけを行ったと報道されており、提出された意見のほとんどが印刷された用紙に署名のみのものだったとのことです。
埼玉県議連が動員 「八ッ場建設」賛成意見−東京新聞【社会】(東京新聞)

意見公募に詳しい川上和久・明治学院大教授(政治心理学)は「声なき多数者から多様な意見を集める、といった本来の趣旨に反している。違法でないとはいえ、『建設推進という結論に向けて圧力をかけよう』との手法は不適切だ」と話している。

◇動物愛護法改正に関わるパブリックコメント(2011年)
環境省が募集したパブリックコメントに、12万件を超える数の意見が寄せられました。これはペット販売業者など、業界内でパブコメを提出するよう呼びかけがあったものです。webで動物愛護活動を行っている方の中でも、提出を呼びかけるブログ記事が多数書かれたり、「2分で提出できる」という触れ込みが見られたりしました。
生後間もないペット販売禁止へ 「動物愛護法」改正で「国民の声」12万件−J-castニュース
これに対し環境省は。

「住所氏名だけが手書きで、あとは同じ印刷物が添付されているというものが少なくなかった。業界関係者からの組織票というのは、見ればすぐにわかるが、これほどくるとは思わなかった。ただ組織票は、同じ意見ばかりで建設的でなく、参考にはなりづらい。パブコメは署名活動ではないので、数にはこだわらない。」(同省動物愛護管理室)
AERA.net サマリ 2011年9月11日より引用(記事の元URL

◇【アメリカ】米国食品医薬品局(FDA)遺伝子組み換え動物の規制に関する最終ガイドライン(2009年)および環境保護庁(EPA)の募集した(2008年)パブリックコメント
これらはアメリカでの事例です。パブリックコメントは何のためにあるのか−うねやま研究室−Food Watch Japanから引用します。

FDAのこの提案に対して寄せられたコメントは約2万9000件、そのうち約2万8000件が単純に遺伝子組換えやガイドラインに対する一般的意見で、ほとんどが反対するものでした。具体的には「アメリカ市民」のような匿名で「遺伝子組換え肉はいらないWe DO NOT want genetically engineered meat!!!!!」と1行書いてあるだけ、といったようなものです。

これ(アサイ注:EPA)には3万2000件以上の意見が寄せられましたが、そのうち1万3849件が全く同じ文章とフォーマットで送付されました。これはEarthjusticeという米国の環境NGOによる集団意見提出キャンペーンに賛同した人たちによるものでした。米国政府のパブリックコメントサイトには、寄せられた意見が基本的にはすべて掲載されるのですが、このようなキャンペーンによる同一文章の大量送付については、1件として扱われています。

◇岩手県「第3次ツキノワグマ保護管理計画(案)に関するパブリックコメント(2012年)
こちらは地方行政に関するパブリックコメントです。
岩手県では獣害問題への対策として、大型野生動物の保護管理計画を5年ごとに見直すこととしています。県の意見募集に際し、「日本熊森協会」が独自の意見を公開、賛同者に意見提出を呼びかけました。

人工林率44%の岩手県では「第3次ツキノワグマ保護管理計画(案)」に関する意見を、公募中です。熊森は、以下2点について強く反対します。
(中略)
過剰捕獲となるので反対です。
(反対理由)ツキノワグマはすでに、人の怖さを十分に知っています。改正する本当の理由は、県の説明とは違うと思われます。
現行ですと、近年、奥山の昆虫や実りがない年が多く、夏から秋にかけて、多くのクマたちが食料を求めて人里に出て来て、有害捕殺されます。その数が余りに多いと、今年クマを殺し過ぎたとして、11月15日からハンターの人たちが楽しみに待っていたクマ狩猟が、自粛という名目で止められてしまいます。クマ撃ちを楽しみたくてハンターになったのに、クマ狩猟できないのなら、何のために税金を出したんだ。ハンターたちに不満がたまります。
過剰捕獲となる上、あまりにも殺し方が残酷なので、反対です。
(中略)
本当の理由は、県の説明とは違うと思われます。
冬ごもりあけのクマは、胆嚢が、1年で最も大きいのです。金より高く売れるというクマの胆嚢を売ることを考えると、春グマを獲るのが一番儲かる殺し時期です。この改正点も、ハンティングを好む人たちからの要望であると思われます。
岩手県 第3次ツキノワグマ保護管理計画にご意見を 意見公募しめきり2013年1月4日−くまもりNews(日本熊森協会公式ブログ)同Web魚拓


これに呼応する形で、twitterやブログを中心に「熊森協会の意見をコピペで提出しよう」という動きが広まりました。
(参考:こちらこちらなど)



◇岩手県の「第3次ツキノワグマ保護管理計画(案)パブコメに関しての熊森協会の行為

このパブリックコメントについて、熊森協会の行動に大きな問題点があると僕は感じました。
1点目は、反対意見を送るよう団体が主導して扇動していることです。
協会はブログで「こんなにひどいことが行われようとしている、私たちはこういう意見です、皆さんも送ってください」と読者の感情をあおり立て、反対意見を送るよう呼びかけを行っています。また同時に会員にメールを送付し「皆さんの声を届けてください」と呼びかけを行っています。このメールにはpdfファイル……ダウンロードして署名し、提出するための様式……へのリンクが示されていて、本記事で指摘してきた「コピペでパブコメ」の悪い例のお手本のような状況となっています。



参照:呼びかけるメールの内容同魚拓)。pdfはこちら(pdf・魚拓)


2点目は、彼らの反対意見が根拠のないものであるという点です。
「改正する本当の理由は、県の説明とは違う」「ハンターの人たちが楽しみに待っていたクマ狩猟が、自粛という名目で止められてしまいます。クマ撃ちを楽しみたくてハンターになったのに、クマ狩猟できないのなら、何のために税金を出したんだ。ハンターたちに不満がたまります」というように、”冷酷で金儲けが好きな残酷なハンター”像をイメージしたレッテル貼りと言えます。また熊胆*4について一切触れられていない文脈で「金より高く売れるというクマの胆嚢を売る」「この改正点も、ハンティングを好む人たちからの要望」と書くのも同様でしょう。
さらに「一般の県民は善良で専門知識もなく、改正案の裏が読めない」というのは、僕には岩手県民の方を小馬鹿にしているようにしか読めません。


先に紹介したパブリックコメントは何のためにあるのか−うねやま研究室−Food Watch Japanの中で、こういった呼びかけをする団体について、

日本でも時々大量の同じ意見を出そうと誘導する団体が、意見はこう書こうなどといったようなテンプレートを準備して一般の人に呼びかけるような運動をすることがありますが、同じ意見は何通出しても1つの意見でしかありません。
逆にそのような呼びかけをする団体は、効果のないことを一般の人に要請し、事務処理の手間を増やすことで税金の無駄遣いをさせている、あまり志の高くない団体であると認識されるでしょう。

と述べておいでで、実にその通りだと感じました。


熊森協会の活動には、どんぐり運びに代表されるように、多くの科学的な問題点が指摘されていながら、根拠を一切示さずに「問題はない」と強弁する姿勢が見られ、僕はこの点を非常に不誠実だとして批判します。会員を2万人以上も抱える団体として、制度上のルールも守らず、根拠のない中傷をばらまき扇動するのが、クマや森の生き物にとっていい方向に繋がる活動だとは到底思えません。
さらに言えば、熊森協会の副会長は弁護士さんなのですよね*5。弁護士として深く関わっている団体の活動が民主主義の精神に則ったものに改善されるよう、僕は強く望んでいます。



ちなみに、岩手県のパブリックコメントは2013年1月4日に締め切られ、1月22日に集まった意見に対する県の対応が発表されました。2月8日にはパブリックコメントを受けて県のツキノワグマ保護管理検討委員会が開かれ、新たな推定個体数や春クマ猟の一部再開が盛り込まれた「第3次ツキノワグマ保護管理計画案」が提示されました。*6
県のwebページに公開されている意見の提出状況(pdf)を読むと、集まった意見の件数は県内から17名56件、県外からは392名の意見があったとのことです。これら56件の意見に対し、保護管理計画案への反映状況を検討したものがこちらの意見の概要と県の考え方(pdf)です。案に賛成・反対のどちらの意見も、根拠のあるもの、検討の必要があるものであれば参考にしていることが窺えます。


なお、僕は12月末から1月4日にかけて、twitterで「パブコメを送ろう!」という意見が100件以上RTされているのを見てきました。2月10日現在、岩手県のパブコメ対応について、熊森協会を含め、twitterやブログ等で意見を述べられている方は見当たりません。
拡散したからにはwebで意見を表明しろ、と言っているわけではありません。ですが、本当に興味があって、危機感をもって問題に接しているなら、自分の出した意見がどのように扱われたか気になるだろうな、と僕は思います。



◆参考資料

本エントリを作成するにあたって、参考にさせていただいたブログ記事や書籍などを紹介します。

◇Webで閲覧できる意見

パブリックコメントは人気投票やアンケート調査の類ではない。多種多様な意見をもとに政策に磨きをかけるための手法だ。したがって、大切なのは政策立案者が想定していなかった隙間を埋める助けとなるような意見だ。同じ意見のメールを大量に送ったところで、業務妨害にしかならない。
(中略)
パブリックコメントは多数決原理ではなく、多様性尊重に基づき設計された制度だ。だから、同一意見の件数の多寡には全く意味がない。官僚や審議会委員など、政策立案に携わる人々はごくわずかで、また、社会階層の特定の層に偏っているため、外部のさまざまな立場や考え方の人々が政策立案者とは違った観点から述べる意見を受け止めることで、少しでも偏りを補正しようというのがパブリックコメントの趣旨だ。これを多数決原理に基づく諸制度と同様に捉えて同じ意見を大量に送りつけるのは、パブリックコメントの機能を損ない形骸化へと導き、ひいては民主主義を堕落させることにもつながりかねない。

パブリックコメントで求められているのはあくまで他人を納得させられる合理的意見であって、人気投票や世論調査ではないことは認識しておいたほうが良いと思います。

→続編目がすべるんです パブコメの中の人−Togetterまとめも参照のこと。


結果が反映された例をみれば分かるように、パブリックコメントを受けてなされる変更は、運用における細部の疑問や具体例などに関するものです。そういう意味では、制度の仕上げを官民協同で行う作業といえるでしょう。パブリックコメントは制度をちゃぶ台返しする仕組みではありません。そのため、制度自体に反対で白紙にもどしたいという場合には不満を感じるでしょう。しかし、それに対してはパブリックコメントはそのような仕組みではないとしか申し上げられません。そのような場合にはもっと前の段階で、議員や政府に法改正を働き掛ける、署名を行うなど違った活動を行う必要があるのではないでしょうか。

本記事を受けて、食品表示に関する分野で「実際に意見が反映された例」「意見の出し方が難しい例」「意見がどのように活用されているか見えにくい例」など、実例を挙げて解説してくださっています。


パブコメは別に多数決の世界じゃないので、反対が多数でも原案のとおり通すこともあるし、少数反対意見でも重要なものは採りあげて検討することになる。

※パブリックコメント法制前の記事。


行政手続室の明渡将副管理官は「意見に対し行政の考えを提示して透明性を確保することがこの制度のメリットで、修正率の高低は問題ではない。むしろ高いと案がいいかげんだったのかということになる。意見の数もゼロというのは寂しいが、それも国民の意思と受け止めている」とする。

「多数決原理ではなく意見の質を競うのがパブリックコメント制度の原則」と指摘するのは、総務省の諮問機関「行政手続法検討会」委員で学習院大の常岡孝好教授(行政法)だ。「むしろ制度をセレモニーにしてしまわないためには、官僚が意見を無視したり、合理的な理由がないのに意見を採用しなかったケースについて正式に行政の決定を是正させるシステムをつくるかどうかが問題だ」という。

◇書籍

住民参加のシステム改革―自治と民主主義のリニューアル (自治問題研究叢書)

住民参加のシステム改革―自治と民主主義のリニューアル (自治問題研究叢書)

パブリック・コメントは(中略)提出された意見の多寡によって事を決する多数決的な手続ではない
(P189より引用)


Q&A パブリック・コメント法制

Q&A パブリック・コメント法制

注意すべき点は、本手続は多数決を求めるものではないということである。すなわち、単に行政側の案に賛成・反対であるという意見ではなく、合理的な理由に裏付けられた意見・情報を行政は求めているのである。
特集「規制の設定等に係る意見提出手続(パブリック・コメント手続)の導入」 P92より引用


2013.02.23追記:id:ohira_y さんが、パブリックコメントへの意見の反映のされ方についてブログ記事を書いてくださいましたのでご紹介します。

*1:タイトル画像はぱくたそ - フリー写真素材・無料ダウンロードさまのぱくたそ - フリー写真素材・無料ダウンロードを使用・編集させていただいております。ありがとうございます。

*2:三重大学人文学部助教授(当時)行政法学

*3:本記事は総務庁規制改革委員会事務室調査員(当時)谷合俊一氏によって書かれたもの。

*4:漢方の材料として以前高値で取引されていた実績があるが、現代において「金儲けのために熊胆を高く売る」ハンターの存在が問題視されるほど多いかは疑問。

*5:あえてリンクは省略します。

*6:クマ捕獲、過去最多303頭 「有害」が95%占める−岩手日報クマ春季捕獲 20年ぶり再開・・・県方針−読売新聞Onlineなど

広告