紺色のひと

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日本一のカニのカーニバル「枝幸かにまつり」に行く

北海道の食べ物で有名どころと言えば、サケ、ウニ、じゃがいも、とうきびジンギスカン、ラーメン、マルセイバターサンド……などなど枚挙にいとまが無い。もちろんホッケも。海産物から農産物まで食べ物がおいしいというイメージは一様に持たれているように思う。
さて、実りの秋という言葉があるように、北海道でも晩夏から秋にかけて旬を迎える食べ物が多い。一方で、春から初夏にかけてが旬の、非常に有名な海産物がある。
そう、それこそカニである。北海道で食べられるカニと言えば毛がにとタラバガニが特に有名だが、そのカニをメインに据えた、日本最大のカーニバルがあることをご存知だろうか。
それこそが、以下でご紹介する「枝幸かにまつり」である!


本エントリでは、毎年7月に実施される枝幸かにまつりをレポートする*1


開催地、枝幸町について

枝幸町(えさしちょう)は北海道オホーツク海に面する港町である。人口約9千人。ちなみに道内にはもうひとつ「えさし」と読む地名があって、南のほうを函館江差、こちらを北見枝幸と呼び分けたりする。

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町の基幹産業は漁業で、毛がにの漁獲高は4億2千4百万円で日本一、またさけの漁獲高も16億円を超える*2。その他なまこやみずだこ等の海産物が数多く獲れる他、内陸部では酪農も行われている。


過疎が進む静かな漁業の町、という印象だが、ここが7月上旬に一気に賑わう。そう、かにまつりによって。噂によれば、枝幸町では年に一回だけ、この祭りへの駐車場誘導のために渋滞が発生するという。


枝幸かにまつりについて

毎年7月第一週の土曜・日曜に開催されている、毛がにをメインに据えたイベントで、2010年の開催では全国から2万2千人もの観光客が訪れたという。今年で43回目を迎えると言うからびっくり。

新鮮な海の幸を存分に楽しめ、毛蟹早食い競争や毛蟹があたる抽選会、毛蟹の特売など、とくかく”カニづくし”の催しが目白押し。もちろん毛蟹以外の特産品や味覚のテントも並びます。
枝幸町イベント情報−枝幸かにまつり

かにの早食いコンテストやYOSAKOIソーランなど、多数の催し物があるとのこと。これは行ってみるしかあるまい! とのことで、例によって僕は妻と出かけたのである。

※この写真は枝幸町イベント情報−第43回枝幸かにまつり開催の様子(pdf)より引用させていただいた。


ということで、かにまつりへ出発!

例によって妻と出かけた――とは書いたが、今回の小旅行にはもうひとり連れが居た。妻の妹、すなわち僕の義妹である。義理の妹と書いて義妹(いもうと)である。しつこいが、僕の、義妹である! ここで僕がどれだけ妹を欲しがっていたかについて筆の限りを尽くすことはやぶさかではないが、かにまつりとは全く関係ないので割愛する。


僕たちは札幌から北上し、


ちょっと美深町チョウザメを見学して、


口をぱくぱくあけているのを眺めた後、さらに車を進めてオホーツク海側のとある町に着いた。


ここには妻の祖父母が暮らしている。今晩はここに泊めてもらって、明日朝に枝幸町のかにまつりへと向かおうという算段である。
晩御飯をご馳走になることとなったのだが、……おばあちゃん、それなんですか? 「なにってウニさぁ」 えっ?


ええええ?


なんだこの凶悪なインパクトの絵面は……塩ウニでも海水ウニでもない、生ウニがこれほど大量に…だと? 漁師町恐るべしである。


玄関先ではじいちゃんが「おう、これ持ってくだろ?」ええええー。


ついでに、とカスベのぬたも出てきた。独特の味だがんまい。「若ぇのにぬた好きなんて変わってんなぁ」よく言われます。



さて、翌朝である。妻と義妹はタオルをかぶってむにゃむにゃしている。朝ごはんは…っと、


ギャー! またウニだー! 学生の頃、友人に「北海道って毎日ウニとかカニとか出てくるんでしょー?」「『ママーまたウニなのー?』『我慢しなさい、これしかないのよ!』って言ってるんでしょー?」とにやにやしながら言われたことがあるが、彼の言っていたことがまさか正しかったとは…。


カニまでついてる! 朝から!


左:ナマコ、右:ホヤ 不思議な触感だがナマコは嫌いじゃない。


既にカニが入るか不安なほど腹がふくれてしまったが、気を取り直して枝幸町へ再出発である。



全国各地のナンバーがついているキャンピングカーのわきを通ると、


ここが会場!


おお、なんだか賑わっている。近づいてみる。


肉だー! ジンギスカンだー!


タコザンギと一緒にビールもいただく。


ステージでは例の「カニの早食い競争」が始まったようだが、遠くてよくわからない。司会のおじちゃんがとても愛嬌のある実況をしていて面白い。個人的には、毛がには殻をむくのが痛いので、血だらけになってまで早く食べなくても良いのにとは思う。



さて、前置きが長くなってしまったが、会場内のカニを見てまわろう。


まずは定番、ゆで毛がにの販売。一杯2千円というのはそう高くはない設定と思うが、安くもないような気がする。


かにめしや、かにの甲羅にほぐした身とネギを詰めて焼いているものを売っている。おいしそう。


お次はカニ汁である。昨日通りがかりに下見したときはこんな看板がかかっていたが、


うおー、なんじゃこの量は!


すごい迫力。山形に居た頃に遊びに行った日本一の芋煮会を彷彿とさせるが、また違ったダイナミズムがある。


これは食い出がありそうだなぁ。



その他物販では、銀毛の新巻鮭姿切り身が売っていたり、サクラマスやメジカ等のサケ科魚類などが並んでいた。



ん? ほたて釣り? どうやって釣るのか?


ふむふむ、重りつきの手作り感あふれるギミックを仕掛けにして、


おおお、釣れてる! UFOキャッチャーみたいだ!



会場で鳴り響いていた音楽がちょっと耳に残る。その名はずばり「カニサンバ」である。


動画は別の町、長万部ゆるキャラまんべくんによるものだが、枝幸かにまつりではこの年YOSAKOIソーラン祭りで大賞を受賞したチームによる「カニサンバ」が披露された。



ひとしきり祭りも堪能したので、会場すぐそばにある「ウスタイベ千畳岩」を覗いてみる。それにしても、妻のゴキゲンっぷりが現れたよい写真だ。


その名の通り、畳が連なるような岩が海沿いに広がっている。



こうして、一泊二日の強行かにまつり訪問は終わりを告げたのである。
ちなみに今年2011年のかにまつりは7月2日(土)、3日(日)の二日間で開催される。大変インパクトのあるお祭りなので、興味のある方は行ってみるとよろしい。


おまけ

帰り道、枝幸町の隣町の歌登(うたのぼり)町にて。

「空きかんすてるとデスモスおこる」うむ、デスモスチルスを怒らせたくはない。


さらに帰り道、名寄(なよろ)市の駅前にある「喫茶ブラジル」にて。こちらのお店は名寄プリンがおいしいので、お土産に是非。市の南側にある道の駅「もち米の里☆なよろ」で販売している大福も、色あざやかでとてもおいしい。

*1:なお、本レポートは昨年度、2010年の内容だが、これは今年度の開催前に合わせようと思っただけで、更新をさぼっていたからではない。

*2:平成21年度北海道水産現勢より引用 http://www.pref.hokkaido.lg.jp/sr/sum/kcs/indexfiles/sui-toukei/suitoukei.htm