紺色のひと

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萌えるサケ科魚類、日本初の擬人化に成功(してた)

「サケ科魚類はお好きですか?」 初対面の女の子にこんな問いかけをしたら、きっとドン引きされてしまうでしょう*1。会話の切り口として適切であるかどうかはともかく、サケは日本では大変メジャーな魚のひとつです。狩猟採集を行っていた時代から大変お世話になっていた例を出すまでもなく、現代に至っても朝の食卓やイクラ丼なんかで馴染みが深い魚ですよね。世界に目を向けても、北半球、特にアメリカでは水産資源として古くから研究が進められてきました。
そんな、誰もが知るサケという魚。でも、普段食べているサケがなんという種類のサケなのか、グルメ番組で名を聞く「トキシラズ」「ケイジ」がどのようなサケなのか、身近な割にご存知ないことはきっと多くあると思います。サケのことをもっと知りたい! ではどうするか?



…そう、萌えればよろしい。
異論は認めます。認めますが、進行上スルーしていただきたい。さぁ、サケをもっと広く知ってもらうために、そして萌えるために、どうすればよいか?


……そう、擬人化だッ!
昨今流行りの、萌えキャラクター化はその解決策のひとつであると、僕はわりと本気で考えています。つい先日も、岐阜県瑞浪市の化石博物館キャラクターとして”瑞浪Mio”たんが発表され、話題になったことは記憶に新しいでしょう。

岐阜県瑞浪市のイメージキャラクター “萌え系”の瑞浪Mioちゃんが話題に - はてなニュース


この瑞浪Mioたんについては、マンガ評論家であり鉱物に大変造詣が深い伊藤剛氏も

Twitter
とのコメントを残しており、その完成度の高さが伺えます。


さて、それではサケ科魚類を擬人化したキャラクターはいないものでしょうか? 実は一年ほど前、衝撃的なキャラクターがデビューしていたのです。それがこちら、シロザケのリンカちゃんです!



【札幌市豊平川さけ科学館応援キャラクター リンカちゃん】


札幌市豊平川さけ科学館(以下「さけ科学館」)は、1970年代から80年代にかけて札幌で広まった”カムバック・サーモン運動”――札幌市内を流れる豊平川に再びサケの遡上を取り戻そう――を受け、1984年に開館した施設です。リンカちゃんは、このさけ科学館の応援キャラクターとして、昨年8月に登場しました。
僕はこのリンカちゃんを見たとき、心が震えました。なぜか言えば、サケ科魚類の擬人化は、この10年程、僕がずっと思い描いていたことだったからです。どのくらい強くかというと、西田敏行のように「もしも萌え絵が描けたなら サケ科の全てをキャラにして webに伝えることだろう」と口ずさむほど…と言えば伝わるでしょうか。
そんな僕が全力でリンカちゃんの魅力をお伝えします。

キャラクターの外観

リンカちゃんは、白・青を主体としたワンピースをまとった少女としてデザインされています。非常にシンプルです。この衣装、サケ科魚類特有の体側の模様であるパーマーク*2からデザインされています。ワンピースを横にすると、そのまま若いサケの模様になるのですね。そしてオレンジ色のアクセサリは言うまでもなくイクラです。サケをイメージするにあたって、非常に分かり易い外見的特徴を持っていると考えられますね。
この分かり易い、というのはイメージキャラクターにとって重要なことです。サケ科のように多くの種類・外観を持つ種群においては、それぞれの魚種について詳細な設定が可能です。だからこそ、一般的にただ「サケ」とだけ呼ばれることの多いシロザケは、最も設定が難しいキャラクターとも言えます。それをコスチュームの模様とアクセサリのみで表現したのは見事の一言。
ちなみにリンカちゃんには「観察するものによって大きさを変えられる」という設定があり、小さくなったときの「ちびリンカ」ちゃんもいます。

リンカちゃんの隣にいるのは、さけ科学館の先輩キャラクター、チェッポくんとチェポミさん。名前はアイヌ語でいうサケ「カムイ・チェプ(=神の魚)」に由来しています。

性格の設定

リンカちゃんには、上記の外観のほか「真面目な性格」「13歳」「3月13日生まれ、うお座」などの設定が与えられています。
リンカ、という名前はサケの学名であるOncorhynchus keta(オンコリンカス ケタ)に由来しています。実に素敵なセンスです。
「真面目な性格」は、サケの代名詞とも言える性質”母川回帰”――生まれた川を覚えていて、回遊した後に戻ってくる――を連想させます。
13歳という年齢についての設定根拠は不明ですが、あえて解釈するとしたら、「サケの平均寿命5歳を人間のおじいさん60歳相当とすれば、パーマークの残る1歳魚は12歳前後…ぴったり!」となるでしょうか。
3月13日生まれについて、リンカちゃんの親である漫画家かじさやかさんに尋ねてみたところ、「サケ→3K→3-13(Kはトランプの13)」という語呂合わせだそうです。うお座は偶然、とのことです。

さけ科学館での展開

現在、さけ科学館に関わり、広報ちらしや館内ポップ、等身大パネルなどでリンカちゃんが活躍中です。館内の「さけ缶デザイン」イベントなどにも登場し、参加者の女の子が描くなど、僕のような大きいお友達だけでなく子供にも人気があることがうかがえます。



またリンカちゃん日記として、キャラクター本人によるブログが更新中です。近々twitterでのアカウント登場も噂されており、前述の瑞浪Mioたん(Twitter)との理系キャラ交流が期待されます。
ちなみにキャラクターグッズも販売されており、ポストカード、カレンダーなどが好評発売中です。もちろん僕は大人買いして全て入手済みです。2011年版のカレンダーも製作中とのことで楽しみですね。



以上、おそらく全国唯一のサケ科キャラクターである、さけ科学館のリンカちゃんについて見てきました。無駄にオタクくさい語り口に辟易された方も多いと思いますが、素晴らしいキャラクターであることは伝わっていればよいなと思います。
この「豊平川さけ科学館」では、積極的に市民参加型イベントを企画しています。理科離れが叫ばれて久しい昨今、子供に対する環境教育の一環として、孵化放流やサケ皮による靴づくりなど、体験型のイベントが多いのは大変好ましいと感じています。大きな施設ではありませんが、サケ科がずらっと並んだ水槽や内部展示は子供だけでなく大人も楽しめる内容となっていますので、札幌近郊の方だけでなく、遠方よりお越しの方も、機会があれば是非ご覧になって頂きたいと思います。


幼い頃からさけ科学館に通い、豊平川で釣りをし魚捕りをし、川ボーイとしての礎を築いた僕は言うなればさけ科学館チルドレン。リンカちゃんを紹介して終わるだけではなんなので、最後に「ぼくのかんがえた萌えるサケ科魚類」について設定を公開します。どなたか萌え絵化して、漁業資源としての、そして自然保護運動の象徴としてのサケの普及にご助力くださると嬉しいです。全力で原案協力します。

ぼくのかんがえた萌えるサケ科魚類 設定一覧

魚種 名前 外観 性格設定 その他
ヤマメ(サクラマス) ヤマメちゃん 細身 生真面目 兄にマソウさん
カラフトマス モモちゃん 方向音痴・ボケ担当 キャラ内で一番若い
ニジマス kissさん スタイルのいい金髪外人娘 喧嘩強い・大食い イワナちゃんと仲が悪い
イワナ(アメマス) イワナちゃん 細身・顔色悪い 暗い・物陰好き 食事には貪欲
オショロコマ マルマちゃん 服装は派手な地味っ子 大人しい・ぬけてる イワナちゃんの従妹
アマゴ サツキちゃん 細身・そばかす有 影が薄い ヤマメちゃんにライバル意識
イトウ イトウさん 大柄な成人男性 物知り ファンが多い

あえて全種を挙げることはしませんが、それにしても、なんという俺得な設定…。巷に溢れる日常系4コマでも学園モノでもなんでもいいから、彼女ら(の設定)を活躍させてあげられる機会を僕は窺っているのです。


サケ科に興味のある方は、併せてこちらもどうぞ。
サケ科魚類オタが非オタの彼女に国産サケを軽く紹介するための10種 - 紺色のひと

*1:実例は秋の夜長,「鮭タイムライン」の夜 - Togetterまとめ参照。

*2:パールマークとも言う、楕円形の紋様を指します。