紺色のひと

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秋になるとストールを巻くひと

本格的に秋の訪れを実感しつつある。晴れた日、日中から日暮れにかけての大気は本当に澄んでいて、この街では最も散歩にいい季節だ。歩くだけで一歩一歩地面から浮き上がってゆくようなのに、足の裏でしっかりと地面を感じていられるのが嬉しい。
去年の今頃、当時付き合っていたひとが読んでいた通販雑誌に載っていたコートを気に入り、注文してもらった。薄手のピーコートは僕のお気に入りになった。それにストールを合わせてこの時期の街を散歩するのが好きだった。
一年が経って、横を歩くひとは今の恋人になり、僕は僕で大学の友人に「アサイは変わった」と言われるようになった。そうかなぁ。僕は本気でそう答える。大層なことなんてなにもしていないはずだった。ストールだって昔から使っていたし、着る服だってジーンズとシャツを少し新調したくらいだ。頭は相変わらず坊主から伸びっぱなし。じゃあ見えないところで変わったのかといえばそういう実感もなくて、僕は会社とアパートを往復して、できる限り穏やかに生活を積み上げようとしてきたはずだった。同人活動というイレギュラーが発生するのも相変わらずのはずだ。僕はこの一年、いや大学を卒業してから、生き延びること、それに続く生活を構築することを考えながら暮らしてきている。
そこで僕を見る目に変化が生じたと感じられたのなら、僕が気づいていないのか、以前の僕に穿ったフィルタをかけていたか、どっちかだ。きっと前者なのだろうけれど、後者のひともいるのだろう。そういうひとはいていいけれど、知ったことかと僕は思う。思うだけだ。