紺色のひと

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ういじん!

〜あらすじ〜
今日は「僕」にとって初めての同人誌即売会である。コスプレ禁止のイベントであるにも関わらず、「僕」は白シャツにニットタイ、キャスケット、肩掛け帆布かばんに皮トランクという若干勘違い気味の文化系男子コスで会場に向かった。
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ディスプレイのことをあまり考えていなかったので、100均で買ったコルクボードにぺたぺたとメモ帳を貼って済ませた。どうせ出品物は一種類しかないのである。50ページカラー文章のみコピー誌の値段の相場がわからなかったので、とりあえず50円にしておいた(安すぎるとのコメントを幾人かから頂いた)。
ともかく僕は踏み出したのだった。創作中心のせいか、思っていたよりも参加者の年齢層が高めで、見たところ一番若いのが専門学校生であるようだった。文章のみのものを扱っていたのは、37のサークル中、僕ともうひとつだけだった(イラストを扱っているところが多いとは思っていたけれど、驚いた)。
肝心の寮小説はというと、手に取ってもらうまでこちらの弁で誘導する必要があった。写真を中心にした視覚的な展開が必要だ、とは感じたのだけれど、それは今回の主目的ではないので割愛する。結局16部が売れた。「男子寮とか、好きですか?」と声をかけて興味を持ってもらえるのは楽しかった。一部紹介する。

(通りがかりのひとに唐突に)「男子寮とか、好きですか?」
「えぇと、嫌いじゃないかもです」
「や、そう言ってくださると思っていました。……ところで世には大きく分けてふたつの男子寮があります。『きれいな男子寮』と、『残念ながらそうでない男子寮』です。イケメンパラダイスやグリーンウッドなんかは前者のきれいな男子寮に属するのですけれど、僕が学生のときに暮らしていた男子寮は、きつい、きたない、くさい、きもい、とかなりの数のKが揃っていました。もちろんイケメンも中にはいるのですけれど、残念なイケメンも少なからず存在していました。風呂トイレが共同で、ご飯が出て、家賃が700円で……ともかく、これは、そういうところで学生時代を過ごした僕が、当時を思い出したり友人と話をしたりしながら振り返る、思い出語りの私小説みたいなものです」