紺色のひと

思考整理とか表現とか環境について、自分のために考える。サイドバー「このブログについて」をご参照ください

鮭累々

サケが累々としていた。 そこは孵化場で、川から引かれた水路に導かれるようになだれ込んできたサケが、すのこの上に次々と揚げられて、システマチックに――と表現するにはあまりに原始的だけれどシンプルで美しい手法によって、腹を割かれてゆく。卵はひとと…

ヒバリズのテーマにかえて

僕の黄金時代はいつだっただろう。 例えば、精神的な拠り所を何かに求めなくても大丈夫なくらいには、揺さぶられて不安定になることも少なくなった。怒鳴り声や歌声にのせて感情を叩き付けなくてもよくなった。何かに駆られるように走り出すことはないけれど…

いまさら『氷菓』の話をしよう

米澤穂信の青春ミステリ小説「古典部シリーズ」を京都アニメーションがアニメ化した「氷菓」。原作を何度も読んでいたこともあり、アニメが始まるのを大変楽しみにしていたのだが、放映時にはほとんど見ることができなくて、この度ようやく全話を通して見終…

絵本「せいめいのれきし」に改訂版が出ました

絵本「ちいさいおうち」で知られる作家、バージニア・リー・バートン。彼女の作品の中で、いえ僕がこれまで読んだ絵本の中で、もっとも好きなのが「せいめいのれきし」です。幼い頃から何度も繰り返し読んで、娘にも何度も読み聞かせたこの本。この度、やや…

からだの経験値を稼ごう

4月の末くらいまで、家のすぐ裏でウドとタラの芽、コゴミがたくさん採れた。シドキと呼んでいたモミジガサも少し生えていたので、一度摘んできた。5月に入るとフキが伸び始め、作業道の脇にはミズと呼ばれる青い葉がだんだんと丈を高くしていった。 ミズ、フ…

西の・光が・強い・ところ

十年前、この土地で暮らしていたときから、西日の強さが気になっていた。春霞のけぶる稜線がシルエットとなり、近くの小高い山々の、スギや葉桜、竹林が明るく浮かび上がる。水が入る前の田はトラクターで掘り起こされ、乾いた空気に細かな土ぼこりを舞い上…

今日までの人生とこれから

本日付で、新卒入社した会社を退職した。辞める決断をしたときはこの先どうなるのだろう、どうすればいいのだろう、という不安と、それでも前に進まなければいけないという焦燥感が強くあったが、決めてしまってからは、行動のひとつひとつが前向きな何かに…

そんな宛名のない手紙:やまがた県に移住します

こんにちは。なんでも地球温暖化とか異常気象に結び付けて語りたがるひとに辟易する今日この頃、あなたがいかがお過ごしか皆目見当もつきません。 春から生活が一変するので、この場をお借りして報告いたします。 家族で山形に移住することにしました*1。ち…

熊森協会の言う『餌付け』とは一体なんなのだろうか

日本熊森協会さんは、奥山保全などの活動をされている実践自然保護団体です。ただ、その活動や自然保護観は、一般的な保護・保全手法と一線を画しており、観念がズレていたり、思い込みが過ぎるように見える部分があったり、独自定義の語を使ったりしている…

2014年、ソフトパレードの足踏み

あまり振り返りたくない、思い出したくない年になった。「仕事が忙しい」という言葉で片付けてしまえる。別に僕は「ていねいに暮らす」とかそういうことを意識しているつもりはないのだけれど、時間に追われて自分のための時間や家族との時間が削られるばか…

バターサンドだけじゃない!六花亭の底力、喫茶室を知っているか

北海道が誇る定番みやげのひとつ、マルセイバターサンド。この美味しさは六花亭の名を全国に轟かせていますが、どっこい底力はこんなものじゃない。六花亭の真髄はケーキや軽食を楽しめるイートイン、すなわち「喫茶室」にあると言っても過言ではありません…

銃のあけぼの

2014年12月22日、空気銃を持った。 狩猟免許試験(第一種銃猟、わな猟)も2014年の秋に受かっているので、あとは自治体に狩猟者登録をすれば晴れて出猟できるのだけれど、今年は日程の都合上無理そうなので、射撃場が空くのを待っている状態だ。一年前、「持…

掌編私小説「リバーズエンド」

車の少ない国道を走っている。小さな橋を通り過ぎようとしたとき、ふと何かが引っかかって、車を停め川原に降りてみた。礫の大小が揃わず、足元が沈むそこには、わずかに腐臭が漂っている。何かが引っかかったと言ったけれど、この匂いを走行中の車から僕の…

時には写真の話を

ここ一年くらい、休日にカメラを持ち出すことが減っている。カメラが重いとか、おむつセットをザックに入れるとカメラのスペースがなくなるとか、細かい理由はいくつか思いつくのだけれど、一番自覚があるのは「積極的に写真を撮ろうという意欲が薄れている…

大阪の錯誤捕獲クマについての簡単なまとめ(追記あり)

2014年6月、大阪府でツキノワグマが捕獲されました。イノシシ・シカ用の罠にかかったもので、こうした「錯誤捕獲」による動物は、原則として放獣するよう環境省から指針が出ています。しかし、大阪府ではツキノワグマが生息していないと思われており、捕獲時…

ウチダザリガニを食べて、外来生物のことを考えてみた

少し早いお盆休みを取って、北海道の東側に行ってきました。 目指すは道内でも数少ない怪獣伝説のある湖、屈斜路湖! 当然怪獣の名前はクッシーなのですが、似た名前のクッタラ湖やクッチャロ湖にクッシーはいるのだろうか、とかそんな非建設的なことを考え…

合唱曲

自分の誕生日を忘れてしまいそうな毎日を過ごしている 娘と妻の待つ家に帰ることを心待ちにしながら日中を過ごしている この先どのように生きてゆけばいいのか、たまに考えながら過ごしている この日常から逃げ出す逃避行の現実味のなさに怯えながら過ごして…

おーちゃんクッキーのひみつ

祖母がつくるクッキーはおいしい。とてもおいしい。厚地で硬めでぱりっと食べ応えがあり、甘すぎずにクルミが香る。従弟たちも「ばあちゃんのクッキーは食べだすと止まらない」「やっぱりこれが一番」と口を揃える。レシピは娘である僕の母にも受け継がれて…

花の名という題名_2014

ずっと、「あの花の名はなんだ」というタイトルの小説を書きたいと思っている。 ――花の名という題名 - 紺色のひと 仕事の内容や愚痴についてはwebに書かないようにしている。 誰が見ているかわからないから、という理由が第一にあるが、それ以前に自分が感じ…

熊森協会が『どんぐり運び』を真っ向から否定していた件

本ブログでは、”実践自然保護団体 日本熊森協会”に対し、その活動、特に「どんぐり運び」に代表される野生動物の関わり方に問題が大きいと感じ、指摘・批判を行ってきました。先日4月8日にアップされた協会公式ブログにて、非常に興味深い記述がありましたの…

桃太郎の入った桃はどこから流れてきたのか問題

「写真で一言ボケることに特化したサービス」、ボケて。ここに投稿された「桃太郎」の裏設定ボケがはてブで話題になっていました。 【ボケ】鬼ヶ島では角が生えずに産まれた子供を大きな桃に入れて海や川に流す習慣があった。 - ボケて(bokete) はてなブッ…

春が来たりて風が吹き、氷は海へと還るのだ

三月。年度末のこの時期は、毎年忙しい日が続くのだけれど、今年のそれはちょっと尋常ではなくて、二月の中頃から休みなしでの出社が続いた。今月の頭に一度、三連休で山形に行った他は、休みの日に娘と遊ぶこともできず、粛々とおしごとをこなさざるを得な…

米を煮て食うだけの日々

仕事が繁忙期を迎え、家に帰る時間が遅くなる日が続く。土日を費やしてもやることはまるで減らず、娘マチ子の顔は朝起きて保育園に連れていくまでの間にしか見られなくて、妻から聞く話で言葉の上達に驚いたりする。マチ子の寝かしつけのまま妻が寝落ちてし…

冬の水面

静かな心持ちでいたいのだ、深い雪の中を流れる冬の川のように。静かに笑い涙して、優しく微笑んでいたいのだ。たとえ針のような言葉を投げつけられても心折れることのない、静かで強い心が欲しいのだ。ひとりきりでも生きてゆけるくらい、冷たく強い心が欲…

2013年、これはむしろ僕のソフトパレード

年賀状と、仕事と育児を理由に放ったらかしになっている部屋の片づけを少しだけ進めていたら、もう31日を迎えていた。慌しいというよりはただ自分の時間の使い方がうまくできていないだけの気もするし、娘の相手をすることを最優先にしたいと思いつつも、生…

SYNAPSE Classroom vol.3「人と動物のつきあいかた」に参加します

2014年1月25日(土曜)に東京で開催されるイベント、SYNAPSE Classroom vol.3「人と動物のつきあいかた」に、"生徒役"として参加することになりましたのでお報せします。 SYNAPSE Classroom vol. 3 | 学術と社会を繋ぐ SYNAPSE Project 「SYNAPSE project」…

銃のさざなみ

感受性の豊かだった時代は過ぎ去り、荒ぶった心持ちを詩や小説に叩きつけることをしなくなった。心を平静に保つ術を得た代わりに、立ったさざなみの運動エネルギーを大切に覚えておくことができなくなった。大人になるのはつらいことだ。 かねてからの検討事…

記念写真と荒ぶりはじめた僕の腹部的な何か

毎年、10月の三連休には記念写真を撮ることにしていて、今年で4回目となった。結婚披露宴からまる4年経っている(結婚5年目)はずなのだけれど、まだそれだけかというのと、あっという間だったなというののどちらの気持ちもあって、時間の経過についてきちん…

マチ子1歳半までの絵本履歴

娘マチ子、もうすぐ一歳半。いつのまにか自分でカラーボックスから絵本を引っ張り出して「はい! はい!」とせがむようになった。とても嬉しい。これも妻が積極的にそういう時間をつくってくれていたからだろうと思う。記録をかねて、今うちにある絵本を並べ…

『パシフィック・リム』みたメモ

各所で話題の「パシフィック・リム」を見てきました。おもしろかったです。初代ウルトラマン・平成ゴジラ以外の特撮作品をあまり見たことがない特撮ファンとして、とりあえず思ったことを書き殴ってみます。 12.11 ブルーレイ&DVDリリース レンタル/VOD 同時…